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和歌,連歌俳諧,漢詩等で,あらかじめ決められた題によって詠作すること。平安時代に,漢詩の影響や,歌会,歌合,屛風歌の詠作等,遊戯や競詠の場で複数の人々によって詠まれたこと,また詠歌の内容が伝統的に形成されたことなどから,題詠の風が広く行われ,《古今和歌六帖》《堀川院御時百首》などが編まれ,題の本意ということが意識された。歌題には,四季の風物や恋,名所など種々の分野のものがあり,〈立春〉〈花〉など単純な題のほか,〈江上早春〉のような結び題が行われた。近代短歌では衰退した。漢詩でも,中国の詩にならい詩題を設けて詠じる風が早くから行われた。詩題には,自然の風物を対象とする詠物,歴史上の人物や事件を詠む詠史の題,〈子夜歌〉〈塞下曲〉のような楽府(がふ)題などがある。
執筆者:石川 八朗
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
あらかじめ決められた歌題によって詠む和歌の創作方法。奈良時代末の大伴家持(おおとものやかもち)のころから題詠が詠まれたが、平安時代に入り、初めは漢詩とともに同題で詠まれるようになり、歌合(うたあわせ)、屏風歌(びょうぶうた)などが盛んになると四季の景物を歌題とした題詠が普通となった。とくに平安後期になり、歌題が細分化され、四季、恋、雑にわたり100首単位などで歌題の組合せ(組題(くみだい))が決められるようになると、詠歌はもっぱら題詠によることになった。それ以降は、どのように歌題の本意をとらえて、いかにそれをじょうずに一首に詠み込むかが、詠歌の本道と解釈され、さまざまの歌論書、参考書が著述されている。
[橋本不美男]
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