題詠(読み)ダイエイ

デジタル大辞泉 「題詠」の意味・読み・例文・類語

だい‐えい【題詠】

あらかじめ決められた題によって詩歌を作ること。また、その作品

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精選版 日本国語大辞典 「題詠」の意味・読み・例文・類語

だい‐えい【題詠】

  1. 〘 名詞 〙 題をきめておいて、詩歌などを作ること。また、その詩歌。
    1. [初出の実例]「題詠上」(出典:羅山先生詩集(1662)六〇)

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百科事典マイペディア 「題詠」の意味・わかりやすい解説

題詠【だいえい】

和歌連俳漢詩用語。あらかじめ設定された題によって詠作すること。短歌では,《万葉集》のころにもあったが《古今和歌集》以後特に多くなり,歌合(うたあわせ)や屏風(びょうぶ)歌が盛んになるにつれて題詠が歌の本道のように考えられた。近代短歌では衰退した。
→関連項目古今和歌六帖日本紀竟宴和歌堀河百首

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改訂新版 世界大百科事典 「題詠」の意味・わかりやすい解説

題詠 (だいえい)

和歌,連歌俳諧,漢詩等で,あらかじめ決められた題によって詠作すること。平安時代に,漢詩の影響や,歌会,歌合,屛風歌の詠作等,遊戯や競詠の場で複数の人々によって詠まれたこと,また詠歌の内容が伝統的に形成されたことなどから,題詠の風が広く行われ,《古今和歌六帖》《堀川院御時百首》などが編まれ,題の本意ということが意識された。歌題には,四季風物や恋,名所など種々の分野のものがあり,〈立春〉〈花〉など単純な題のほか,〈江上早春〉のような結び題が行われた。近代短歌では衰退した。漢詩でも,中国の詩にならい詩題を設けて詠じる風が早くから行われた。詩題には,自然の風物を対象とする詠物,歴史上の人物や事件を詠む詠史の題,〈子夜歌〉〈塞下曲〉のような楽府(がふ)題などがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「題詠」の意味・わかりやすい解説

題詠
だいえい

あらかじめ決められた歌題によって詠む和歌の創作方法。奈良時代末の大伴家持(おおとものやかもち)のころから題詠が詠まれたが、平安時代に入り、初めは漢詩とともに同題で詠まれるようになり、歌合(うたあわせ)、屏風歌(びょうぶうた)などが盛んになると四季の景物を歌題とした題詠が普通となった。とくに平安後期になり、歌題が細分化され、四季、恋、雑にわたり100首単位などで歌題の組合せ(組題(くみだい))が決められるようになると、詠歌はもっぱら題詠によることになった。それ以降は、どのように歌題の本意をとらえて、いかにそれをじょうずに一首に詠み込むかが、詠歌の本道と解釈され、さまざまの歌論書、参考書が著述されている。

[橋本不美男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「題詠」の意味・わかりやすい解説

題詠
だいえい

和歌の創作方法の一つで,現実の体験とはかかわりなく,あらかじめ与えられた題によって詠むもの。事物に触発された直接的な感興を詠む「詠物」などに対する。その萌芽は『万葉集』の大伴家持の歌などにみられるが,平安時代に入って,漢詩句を題とした『句題和歌』 (894) のように漢文学の影響を受ける一方で,屏風歌や歌合などの流行に伴って盛んになり,中期には類題和歌集の『古今和歌六帖』のような編纂物も生み出され,院政期になると,四季,恋,雑の 100題を詠んだ『堀河百首』が出現して題詠が確立した。

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普及版 字通 「題詠」の読み・字形・画数・意味

【題詠】だいえい

題を定めて詩を作る。

字通「題」の項目を見る

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