雄性不稔(読み)ゆうせいふねん(英語表記)male sterility

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

雄性不稔
ゆうせいふねん
male sterility

雄性器官である花粉や胚のうが異常で,正常に花粉形成ができない現象。原因としては,温度やウイルス病などによる場合と,遺伝的な場合がある。遺伝的な因子としては,核遺伝子によるものと細胞質内にあるミトコンドリア遺伝子によるものが知られている。細胞質中に雄性不稔を誘引する遺伝子が存在しても,核内に花粉形成機能を回復させる遺伝子が存在した場合には,雄性不稔にはならず,花粉はできる。一般に一つの花に雌しべと雄しべがある自殖性植物においては,他の花の花粉による受粉を受けにくく,雑種の形成が困難であったが,雄性不稔母系を利用して雑種の生産が容易に行なわれるようになってきている。

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世界大百科事典内の雄性不稔の言及

【雑種強勢】より

…一方,F1よりもさらに次の世代のF2(雑種第2代)になれば,飛躍的に供試種子量を増やすことができるので,実用的に差しつかえのない場合や,F1種子(交配種子)が少ない場合にはF2種子(F1から採種した種子)の利用が普及している。なお,遺伝的に雄性器官が不稔となる雄性不稔現象を併用するようになってから,この一代雑種育種法はさらに広まり,自殖性作物(イネ,コムギ,オオムギなど)にも適用され始めている。雄性不稔現象は広範囲の作物で見つけられているが,この現象は核遺伝子に由来するものと,細胞質に由来するものとがあり,育種に利用されやすいのは後者の細胞質雄性不稔である。…

※「雄性不稔」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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