改訂新版 世界大百科事典 「雲州蔵帳」の意味・わかりやすい解説
雲州蔵帳 (うんしゅうくらちょう)
出雲国(島根県)松江藩主松平不昧(ふまい)(松平治郷)が収集した道具の目録帳。《雲州名物帳》《雲州道具買入帳》と称して一定せず,内容もまた若干異にする類本が世上に多く流布しており,底本とすべきものはない。しかし本書の原初的な形態は,不昧晩年の1811年(文化8)には成立していたものと考えられる。各種異本に共通しているのは,全体を7部構成にしている点で,〈七冊名物記〉という称がおこるゆえんもここにある。全体は,宝物の項を3部に分け,大名物,中興名物,名物並・上の各部を添える。本書が他の蔵帳と異なる点は,各品目について付属物の袋,箱,箱書および買上価格などを証明し,明記していることである。
執筆者:筒井 紘一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報