電力市場自由化(読み)でんりょくしじょうじゆうか(その他表記)restructuring of electricity market

知恵蔵 「電力市場自由化」の解説

電力市場自由化

自然独占とされてきた電気事業のうち、発電部門と小売り部門で市場参入規制を緩和し、競争を導入すること。電気料金の低廉化や電気事業の効率化を進めることが目的。電気事業の規制緩和とも呼ばれる。1970年代に米国で導入された公益事業規制法(PURPA)によって、発電分野に独立発電事業者(IPP:independent power producer)が参入したことが始まりで、90年に英国で小売り部門を含めた電力市場自由化が行われて以降、世界的な潮流となった。日本では、96年に卸電力供給の入札として発電市場の自由化が始まった。小売市場は、2000年3月から対象を2万V・2000kW以上の大口需要家に限定した自由化が始まったが、新規参入は進まなかった。05年4月には、すべての高圧需要家(50kW以上)に自由化範囲が拡大。系統監視のため、中立機関の設立、送配電部門の公平性・透明性の確保、卸電力取引市場の創設核燃料サイクルの費用負担などが進められた。07年には、家庭を含めた全面自由化は、ほとんど議論されないまま、先送りが決まった。安定供給を理由にして発送電分離(電力会社からの送配電機能の分離)をしないままの「日本型自由化」の有効性疑問の声もある。

(飯田哲也 環境エネルギー政策研究所所長 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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