電波吸収塗料(読み)でんぱきゅうしゅうとりょう(その他表記)electric wave absorption paint

日本大百科全書(ニッポニカ) 「電波吸収塗料」の意味・わかりやすい解説

電波吸収塗料
でんぱきゅうしゅうとりょう
electric wave absorption paint

障害となる電波を吸収するための塗料。近年海洋長大橋の架設に伴い、その付近を航行する船舶レーダーに偽像を生じ、夜間濃霧のときの安全航行に影響を及ぼしている。大型船舶ではマストや甲板上の構造物からレーダー電波の反射によっても偽像を生じ問題となっている。さらに電波のゴースト現象や電波干渉障害などの問題解決のために電波吸収塗料が開発されている。

 金属表面は、まず導電性材料とフェライトを構成成分とした吸収層と、フェライトを配合した変成層との二層構造をとっている。二層構造は従来の単層型フェライトタイプに比べてはるかに幅広い周波数帯で電波を吸収することが可能となった。

 塗料としては、厚塗りが可能のものでかつ高度の耐久性が要求される。

垣内 弘]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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