電熱線合金(読み)でんねつせんごうきん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「電熱線合金」の意味・わかりやすい解説

電熱線合金
でんねつせんごうきん

電流による発熱ジュール熱)を熱源として利用できるような合金。この目的のためには電気抵抗率が高く、高温での強さ、耐酸化性などに優れており、さらに線引加工が容易である必要がある。いわゆるニクロム(商品名)がその代表例であり、ニッケル‐クロム(10~20%)合金(電気抵抗率約100マイクロオーム・センチメートル、最高使用温度1100℃)や、ニッケル‐クロム(10~20%)‐鉄(10~25%)合金(約110マイクロオーム・センチメートル、1000℃)がある。これらニッケル合金は比較的加工が容易であり、一般にみられる電熱線はこの種のものが多い。このほかに耐熱性の優れた鉄‐クロム(10~30%)‐アルミニウム(2~8%)合金もある(代表商品名カンタル線)。この系の合金は電気抵抗率(約140マイクロオーム・センチメートル)も最高使用温度(1100~1200℃)も高く優れた電熱線合金であるが、製造上ニクロム線よりも硬く、線引加工が困難である欠点があり、また加熱に伴い著しくもろくなるという利用上の難点がある。これら電熱線は通常螺旋(らせん)状に巻いたものを耐熱陶器製熱板に保持して通電加熱され、電気釜(がま)、電気暖房具、電気アイロンなど多方面にわたり使用される。

[及川 洪]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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