ニクロム(読み)にくろむ(英語表記)nichrome

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニクロム」の意味・わかりやすい解説

ニクロム
nichrome

電熱用発熱材料として使われる合金で,ニッケル Ni77~79%,クロム Cr19~20%のものが高級品で,Niを 35%程度まで減らして,鉄 Feを 55%程度まで入れたものもある。高級品は耐酸化性,高温強度とも高く,最高 1100℃まで使用できるが,Niを減らしたものは耐用温度 1000℃である。通常は線であるがリボンもある。ニクロム類似の発熱材料に,Fe69%,Cr18~25%,アルミニウム3~6%,コバルト若干のカンタルがある。耐用温度は最高 1250℃程度で,一種の高クロムステンレス鋼である。発熱材料としては両者とも同様に使えるが,耐熱合金としては強度が不足なので使わない。ニクロム,カンタルともいまは通称であるがもとは商標名で,JISではニッケルクロム,鉄クロムとして規格している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニクロム」の意味・わかりやすい解説

ニクロム
にくろむ
nichrome

ニッケルとクロム、あるいはこれに少量の鉄を加えた合金の商品名。一般にはニッケルクロム(鉄)電熱合金の総称として用いられることが多い。この種の合金は電気抵抗率が約110マイクロオーム・センチメートルと高く、また抵抗率の温度による変化も比較的小さく、さらに高温での強さも大きく、化学的にも安定であり、そのうえ加工も容易であることなどから、電熱用抵抗体、電流調節用抵抗体などに用いられる。代表的組成はニッケル60~90%、クロム10~35%である。これに鉄を20%程度加え、低価格としたもの(ただし耐熱性はやや劣る)もある。

[及川 洪]

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