預物(読み)あずけもの

精選版 日本国語大辞典 「預物」の意味・読み・例文・類語

あずけ‐もの あづけ‥【預物】

〘名〙 他人に預けてある品物。寄託物。特に中世土倉に預けおいた物。
※蜷川文書‐文明一八年(1486)一二月・政所方沙汰条目「一・諸質物事、一・諸借物并預物事」
※虎明本狂言・富士松(室町末‐近世初)「わたくしのではござらぬ、人のあづけものでござる」
[語誌]古い文献に仮名書きの例はみつけにくいが、文書等の物品を人に預ける行為が行なわれていたことは平安時代の古文書に明らかであり、預かった米等をたとえば「備中国去年大粮、預物未究進」〔三条家本北山抄裏文書‐長保元年四月一日・衛門府月奏文〕や「右地直米、以権上座念秀預物之内」〔東大寺文書‐長久四年三月一六日・藤原実遠直米請文案〕のように「預物」と記している。これらの読みは「あずけもの」か「あずかりもの」か明らかでない。

あずかり‐もの あづかり‥【預物】

〘名〙
① 他人から預かっている品物。
多聞院日記‐天正四年(1576)五月一五日「原田一類の衆預り物あらば、帋一枚のこさず可出」
② 借り物。
山中文書‐天正一九年(1591)九月二八日・近江宇田村惣起請文前書「右預りものに付而も、借米に付而も、返弁之時」
[語誌]→「あずけもの(預物)」の語誌

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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