日本大百科全書(ニッポニカ) 「頸部リンパ節結核」の意味・わかりやすい解説
頸部リンパ節結核
けいぶりんぱせつけっかく
頸部の結核性リンパ節炎のことで、結核性頸部リンパ節炎あるいは頸腺(けいせん)結核ともいい、古来「るいれき」ともよばれてきた。肺外結核のうちで、もっとも頻度の高い疾患である。男女比はほぼ1対3で女性に多い。二次結核症の一型で、陳旧性微小リンパ節病変が非特異性リンパ節炎などで再燃してくるものと思われる。初期には1ないし数個のリンパ節が孤立性に腫(は)れてくる(初期腫脹(しゅちょう)型)。やがてリンパ節周囲炎がおこると、周囲と癒着して腺塊(せんかい)を形成し、自発痛や圧痛を伴うようになる(浸潤型)。その後縮小して弾性を失い硬くなる(硬化型)が、リンパ節の中心壊死(えし)がおこって膿瘍(のうよう)化する(膿瘍型)こともある。膿瘍が自潰(じかい)して瘻孔(ろうこう)を形成する(潰瘍瘻孔型)と、難治となる。
確定診断はリンパ節の組織診断と結核菌の証明によるが、非結核性抗酸菌による頸部リンパ節炎がみられるので抗酸菌の同定も必要である。組織所見は90%に特異所見が認められる。治療は肺結核に準ずるが、膿瘍型および潰瘍瘻孔型では外科療法が必要である。
[山口智道]