リンパ節炎(読み)りんぱせつえん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リンパ節炎」の意味・わかりやすい解説

リンパ節炎
りんぱせつえん

生体の防衛機構の一つであるリンパ節に細菌毒素が取り込まれると防衛反応がおこるが、その反応の程度が強くて局所的な腫脹(しゅちょう)や疼痛(とうつう)などを伴った場合をリンパ節炎という。急性炎症と慢性炎症に分けられる。

 急性炎症には非化膿(かのう)性炎症、化膿性炎症、化膿性蜂巣織(ほうそうしき)炎症などがある。原因は通常、ブドウ球菌や連鎖球菌などの細菌であるが、ウイルスや原因不明の場合もある。また、体のある部位に炎症がおこると、その周辺の特定のリンパ節が腫(は)れ、ときには痛みがおこる。たとえば、淋疾(りんしつ)では大腿(だいたい)の付け根にある鼠径(そけい)部リンパ節炎がおこる。治療としては抗生物質の投与などを行い、化膿すれば外科的に切開排膿する。

 慢性炎症は毒力の弱い菌の慢性的刺激によっておこるが、急性炎症から移行することもある。腺病(せんびょう)質の小児では発熱に続いて頸(けい)部リンパ節の慢性腫脹がみられることもある。治療としては急性炎症と同様、原因となっている細菌などに対する抗生物質投与などとともに、対症療法を行うほか、小児の場合は体力をつけて抵抗力の増強を図るようにする。

[折田義正]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リンパ節炎」の意味・わかりやすい解説

リンパ節炎
リンパせつえん
lymphadenitis

リンパ節の炎症。急性と慢性に分けられる。頭部,頸部,上下肢の化膿巣などからリンパ管を介してその所属リンパ節に病原菌が達し,炎症が起る。化膿していない段階を急性単純性リンパ節炎といい,化膿したものを急性化膿性リンパ節炎という。腋窩や鼠径部のリンパ節炎は,ぐりぐりを触れることで容易にわかる。感染の原病巣を治療するとともに抗生物質の投与,安静と湿布,化膿部位の切開排膿などを行う。慢性単純性リンパ節炎は小児に多い。数個のしこりを触れるが,圧痛もほとんどなく,予後はよい。結核菌による慢性リンパ節炎は頸部に多く,頸部リンパ節結核 (るいれき) と呼ばれる。数個のリンパ節が無痛性にはれ,しばしば癒着して腺塊をつくり,ついには皮膚に特有な瘻孔潰瘍を形成するもので,発熱や局所熱感は少い。

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