(読み)てつ

普及版 字通 「餮」の読み・字形・画数・意味


18画

[字音] テツ・テン
[字訓] むさぼる

[字形] 形声
声符は殄(てん)。〔左伝、文十八年〕に「縉雲(しんうん)氏に不才子り。飮を貪り、賄を(むさぼ)る。~天下~之れを饕餮(たうてつ)と謂ふ」とあり、〔注〕に「財を貪るを饕と爲し、を貪るを餮と爲す」とあって、三苗をいうとする。饕餮は双声の連語。楚語に虎を於(おと)というのと関係があるらしく、青銅器のいわゆる饕餮文は、虎の展開文の形である。虎という名は、北方の別系統の語であろう。

[訓義]
1. むさぼる、むさぼり食う。
2. 饕餮、殷・周の青銅器の文様にみえる怪獣紋。

[古辞書の訓]
名義抄〕餮 ムサボル

[語系]
餮thyt、貪thmは声に通ずるところがあり、貪の意を以て解されるが、本来は饕餮t-thytという連語。単用されることのない語である。

[熟語]
餮切餮饕
[下接語]
貪餮・饕餮

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【饕餮文】より

…《春秋左氏伝》によれば,縉雲氏にできの悪い息子がおり,飲食や財貨をむさぼり,身よりのない者や貧乏人まで苦しめた。そこで人々は彼を饕餮と呼んだという。饕は財貨をむさぼること,餮は飲食をむさぼることを意味する。…

※「餮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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