(読み)とう

普及版 字通 「饕」の読み・字形・画数・意味


22画

(異体字)叨
5画

[字音] トウ(タウ)
[字訓] むさぼる・とうてつ

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は號(号)(ごう)。字はまた叨に作る。〔説文〕五下に「貪るなり」とあり、貪叨のように熟して用いる。饕は饕餮(とうてつ)。餮は殄(てん)声。饕も形声の字で、もと音訳の語であろう。饕餮を三苗とする説があり、南方の語であるらしい。古銅器にみえる饕餮文(とうてつもん)は虎の展開図とみるべきもので、それを呪飾としたものであろう。南方では虎を於(おと)という。楚の史記を檮(とうごつ)といい、また悪獣の名であるという。饕餮と関係のある語と思われる。於・饕餮・檮は、おそらく同系の語であろう。

[訓義]
1. むさぼる、食らう、そこなう。
2. 饕餮、悪獣の名。
3. 三苗。苗族をいう。

[古辞書の訓]
名義抄〕饕 ムサボル 〔字鏡集〕饕・叨 カムガフ・タダス・ムサボル・カタジケナシ・ムセブ・ミダリガハシ・クラフ・ミダル・ヲシム

[語系]
饕餮th-thytは双声の連語。餮は貪thmと声義が近いが、饕餮はもと音訳の語であろう。

[熟語]
饕貪・饕餮・饕腹饕戻
[下接語]
貪饕・餮饕・風饕・吏饕・老饕

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【饕餮文】より

…《春秋左氏伝》によれば,縉雲氏にできの悪い息子がおり,飲食や財貨をむさぼり,身よりのない者や貧乏人まで苦しめた。そこで人々は彼を饕餮と呼んだという。饕は財貨をむさぼること,餮は飲食をむさぼることを意味する。…

※「饕」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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