改訂新版 世界大百科事典 「骨斧」の意味・わかりやすい解説
骨斧 (こっぷ)
石斧に似た形態の骨角器。北海道で続縄文時代から引き続き使用され,オホーツク文化期に特に発達したものとみられる。モヨロ貝塚出土例は鯨骨製で,長さ20cm,幅5cm,厚さ2.5cmほどの斧のような形をしたもので,刃部と基部との境には,両側あるいは片側に段を設けたり,瘤をつくり出している。石斧になぞらえて有肩骨斧,あるいは有角骨斧という場合もある。刃は蛤刃(はまぐりば)となるものが多く,両端に刃をもつものもある。従来より斧のように打ち割る用途が想定されている。近年は骨斧よりやや薄身で同様の形態をした骨篦,幅が広く1対の楕円形の窓のある骨鍬とともに,土掘具としての使用法も考えられている。骨篦は北欧,北米に類例があり,骨鍬はオホーツク海北岸の古コリヤーク文化や中国の新石器時代の遺跡にも似たものがある。骨斧ほど身が厚く鋭利な刃をつけるものは,北欧の鯨解体用具や北米の木材加工用の楔(くさび)にも認められる。
執筆者:大沼 忠春
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報