北海道南西部,渡島(おしま)支庁七飯(ななえ)町の北部に位置する湖。その南西に狭い水路で連絡した小沼,西に蓴菜(じゆんさい)沼がある。沼の周囲20km,面積5.3km2,最大深度13.6m,水面標高130mの富栄養湖である。三つの湖はいずれも駒ヶ岳の火山噴出物によって折戸川がせき止められてできたもので,泥流堆積物が大小126の島,33の小湾を形成し,湖岸は変化に富んだ景観を呈する。湖岸にはエゾマツ,トドマツ,イタヤカエデ,シラカバなどの原生林が繁茂し,鳥獣保護区になっている。また沼にはコイ,フナ,ワカサギなどが生息し,ヘラブナ釣りの名所となっている。駒ヶ岳,大沼,小沼などを含む地域が,1958年に大沼国定公園に指定された。1905年から北海道庁の庁立公園に指定されたためによく自然が守られ,公園施設も整備されてきた全国でも古い歴史をもつ自然公園である。探勝の根拠地は南大沼や東大沼などで,南大沼地区は函館本線大沼公園駅に近く,古くから茶屋,みやげ店などが置かれ,函館市民の奥座敷として親しまれてきた。小沼北岸の山水(さんすい)温泉(単純泉,39℃)付近にも旅館,ユースホステルなどの宿泊施設が整い,ゴルフ場もある保養地として発展しているが,一方,沼への排水による汚染が問題となっている。東大沼地区は駒ヶ岳登山口,キャンプ場として利用されてきたが,明治初年発見の留ノ湯に始まる東大沼温泉(単純泉,37~52℃)が発展して近代的なホテルができている。
執筆者:奥平 忠志
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北海道西部、渡島(おしま)半島東部にある湖沼。駒ヶ岳(こまがたけ)噴出物による折戸(おりと)川の堰止湖(せきとめこ)で、付近の小沼、蓴菜沼(じゅんさいぬま)も同様の成因による。駒ヶ岳とともに大沼国定公園をつくる。湖岸線20.4キロメートル、面積5.12平方キロメートル、最大深度13.6メートル、水面高度130メートル。駒ヶ岳の泥流堆積物(たいせきぶつ)が大小126の島をつくり、33の小湾も形成され、変化に富む。キャンプ、スケートと夏冬ともににぎわう。JR函館(はこだて)本線大沼公園駅下車。
[瀬川秀良]
山形県中央部、西村山郡朝日町にある沼。長径約200メートル、幅50から120メートルほどの低層湿原を有する浅い小沼。湖上を湿原のヨシなどの群落が分離して浮遊する大小60余りの浮島があり、古くから浮島沼(浮島大沼)として知られ、大沼の浮島として国の名勝に指定されている。湖畔に浮島稲荷神社(うきしまいなりじんじゃ)があり、出羽(でわ)三山の行者や船乗りが訪れた自然信仰の地で、橘南谿(たちばななんけい)の『東遊記』などにも記されている。JR左沢(あてらざわ)駅から途中までバスが通じる。
[中川 重]
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…最高峰は黒檜山で標高1828m。山頂部には小カルデラ(径2~4km,深さ60~300m)があり,その中に2個の溶岩円頂丘の地蔵岳,小沼(この)火山と火口原湖大沼(おの)がある。小沼火山頂部には爆裂火口跡の小沼がある。…
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