高屋枚人墓誌(読み)たかやのひらひとのぼし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「高屋枚人墓誌」の意味・わかりやすい解説

高屋枚人墓誌
たかやのひらひとのぼし

常陸(ひたち)国(茨城県)の大目(だいさかん)として国府に出仕した河内(かわち)国(大阪府)古市郡高屋郷出身の官人、正六位上、高屋枚人の墓誌。大阪府南河内郡太子(たいし)町太子の水田から掘り出されたとも、河内国石川郡の出土とも伝える。墓誌は砂岩製で、長方形の誌石(縦26.2センチメートル、横18.7センチメートル、高11.9センチメートル)と蓋石(ふたいし)(縦27.7センチメートル、横18.7センチメートル、高9.8センチメートル)からなり、誌石上面に五行37字の銘文を刻む。金属製が多いわが国の墓誌のなかで、石製のものは本例のみで、塼(せん)製の紀吉継(きのよしつぐ)墓誌とともに蓋を伴う点は中国墓誌の形制に倣うものである。銘文により776年(宝亀7)に死去したことが知られるが、枚人についてはこの墓誌以外に知るところがない。重要文化財。

[大脇 潔]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android