朝日日本歴史人物事典 「高島屋おひさ」の解説
高島屋おひさ
江戸後期の美女。江戸両国薬研堀米沢町2丁目の煎餅屋高島屋長兵衛の長女で,両国で自家が経営する水茶屋で働く。江戸浅草随神門脇の水茶屋の評判娘の難波屋おきた,吉原玉村屋抱えの女芸者で富本節の名取り富本豊雛と共に,寛政三美人(豊雛の代わりに菊本おはんを当てる説もある)のひとりに数えられた。寛政5(1793)年,17歳のころ,喜多川歌麿の美人画のモデルとなって名高く,おきた16歳とその美しさを競い合い,対になる大判錦絵のほか,「囲碁を囲む五美人」など腕相撲や拳などの趣向で,ふたりを競わせる絵が伝わる。寛政4,5年ごろに歌麿が描いた大判錦絵「当時三美人」のなかに,丸に三つ柏の紋に描かれるのがおひさ,桐紋を付けて描かれたのがおきた,富本宗家の桜草の紋を付けているのが豊雛である。
(宇田敏彦)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報