普及版 字通 「鬯」の読み・字形・画数・意味
鬯
10画
[字訓] においざけ・においぐさ
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 象形
香りをつける鬱草(うつそう)を、酒壺にひたしている形。その酒を鬱鬯という。〔説文〕五下に「秬(きよ)を以て鬱艸を(かも)す。(ふんぱう)のする攸(ところ)、以てをすなり。凵(かん)に從ふ。凵はなり。中は米に象る。匕(ひ)は之れを(すく)ふ以(ゆゑん)なり」とするが、卜文・金文はそのように分解しうる字形ではない。卜辞に「鬯六(いう)」「鬯卅」などの語があり、金文には「秬鬯一」を賜与する例が多い。〔周礼、春官〕に「鬯人」「鬱人」の職があり、秬鬯のことを掌る。
[訓義]
1. においざけ、鬯酒。
2. においぐさ、鬱金草。
3. (ちよう)と通じ、弓袋。
4. 暢と通じ、のびる。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕鬯 香なり/鬯弓 ユミヲユ・フクロニス 〔字鏡集〕鬯 黍の酒なり。クロニス
[部首]
〔説文〕〔玉〕に鬱・(爵)・など四字を属する。(きよ)はまた秬に作る。の卜文形は鬯に従わず、もと器の象形。金文の後期に至って鬯を含む形に作るものがある。
[熟語]
鬯弓▶・鬯圭▶・鬯酒▶・鬯浹▶・鬯遂▶・鬯然▶・鬯草▶・鬯達▶・鬯通▶・鬯茂▶
[下接語]
鬱鬯・鬯・秬鬯・条鬯・薦鬯・匕鬯・明鬯・流鬯
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報