日本大百科全書(ニッポニカ) 「鳴鹿堰堤」の意味・わかりやすい解説
鳴鹿堰堤
なるかえんてい
福井県北部、吉田郡永平寺町(えいへいじちょう)鳴鹿にある九頭竜(くずりゅう)川の堰堤。右岸の坂井平野約100平方キロメートルを灌漑(かんがい)する用水の取水口で、これには新江(しんえ)、高椋(たかぼこ)、磯部(いそべ)、河合春近(かわいはるちか)の用水を含み、幹線の十郷(じゅうごう)用水は坂井市坂井町五本(さかいちょうごほん)で五分して竹田川に入る。かつては各用水の取水口が分かれて争いが絶えなかったのを、1940年(昭和15)国費7億余円を投じて旧十郷大堰(おおい)に合口(ごうぐち)した。十郷用水は12世紀初めに開削、興福寺兼春日(かすが)社領の河口庄(かわぐちのしょう)十郷の開田の基となり、鳴鹿取水は春日社の神鹿(しんろく)の導きによると伝える。
[島田正彦]