合口(読み)アイクチ

デジタル大辞泉 「合口」の意味・読み・例文・類語

あい‐くち〔あひ‐〕【合(い)口】

(「匕首」と書く)つばのない短刀九寸五分くすんごぶ。「ふところに合(い)口をのむ」
人と何かをするときの相性。「彼とは合(い)口がいい」
互いに話が合い、気心の合うこと。また、その間柄
「同じ年頃の婦人たちの中では姉と―であり」〈野上真知子
物と物とが合わさるところ。
合い1」に同じ。
[類語](1短剣短刀どす懐剣懐刀守り刀けんつるぎ刀剣太刀大刀たち大刀だいとう小刀しょうとう名刀宝刀軍刀牛刀日本刀青竜刀サーベル銃剣手裏剣真剣脇差し小柄人斬り包丁快刀業物木刀木剣木太刀竹光長刀なぎなた/(2相性肌合いもってこい便宜好都合便利利便タイムリー有り難いうれしいおんの字重宝ちょうほう有用有益簡便軽便至便程よい絶好願ったり叶ったり願ってもない渡りに船格好頃合ころああつらえ向き打って付けぴったり好個好適適する適う適える合う沿うそぐう向く似合う似つかわしいふさわしいしっくり当てはまる適合する適当する合致する即応する同調するフィットする相応しか即する肌が合う適格適材くみし易いしかるべきマッチ究竟くっきょう合目的文句無しリーズナブル好条件見合う匹敵言い得て妙あたかもよし三拍子そろ似合わしいジャストミート思いがけない当を得る馬が合う息が合う順当どんぴしゃり所を得る最適つぼにはまる水を得たうおのよう結構尽くめ

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精選版 日本国語大辞典 「合口」の意味・読み・例文・類語

あい‐くちあひ‥【合口】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 話が互いによく合うこと。また、そのような間柄や、間柄の者。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「酒やの亭主と相口じゃといふに依て、おもしろをかしう云て一樽取て来い」(出典:虎寛本狂言・千鳥(室町末‐近世初))
    2. 「ひごろのあいくちの友たちありけるをたのみとして」(出典:評判記・吉原こまざらい(1661‐73)銀屋)
  3. 物と物と相合うところ。物と物との接合部分。あわせめ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  4. (つば)のない短刀。匕首(ひしゅ)。懐刀(ふところがたな)九寸五分(くすんごぶ)
    1. [初出の実例]「御帯を取、左の方にあいくちのあたる程に持」(出典:三議一統大双紙(15C前)法量門)
  5. 近世、白鮫(しらざめ)などで作った、柄の縁と鞘(さや)鯉口(こいぐち)とのところに描いた紋所などが、互いに合うように作った短刀。〔刀剣記‐上〕
  6. あいば(合端)

ごう‐こうガフ‥【合口】

  1. 〘 名詞 〙ごうこうおん(合口音)漢呉音図(1815)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「合口」の意味・わかりやすい解説

合口
あいくち

刀剣の拵(こしらえ)(外装)形式の一つ。鐔(つば)を用いず、柄(つか)の口と鞘(さや)の口とが直接あうものをいう。短刀の拵のもっとも一般的な形式として、平安時代から江戸時代まで盛行しているが、室町時代末期には上杉景勝(かげかつ)の愛刀の高木長光や山鳥文一文字など、まれに打刀(うちがたな)の拵の作例も現存している。なお、現在、新聞・警察用語で短刀そのものを合口(匕首)と称することがあるが、これは短刀の拵にこの形式が多かったことから転じた俗称であり、本来刀身ではなく、拵をさす名称である。

[原田一敏]

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百科事典マイペディア 「合口」の意味・わかりやすい解説

合口【あいくち】

鍔(つば)のない短刀。鞘(さや)の鯉口(こいぐち)と柄の縁とが合うように作る。【ひ】首(ひしゅ)の字を当てることも多いが,これは本来,頭がさじに似た中国の短剣である。短刀公式に帯びるので飾りがあるが,合口には飾りがない。〈九寸五分〉,〈どす〉ともいう。
→関連項目日本刀

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普及版 字通 「合口」の読み・字形・画数・意味

【合口】ごうこう

口すぼめ。

字通「合」の項目を見る

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