日本大百科全書(ニッポニカ) 「鴛鴦文」の意味・わかりやすい解説 鴛鴦文おしどりもん 雄を鴛(えん)、雌を鴦(おう)という。雌雄がつねに離れることなく仲がきわめてむつまじいところから、古来、夫婦和合の象徴とされている。鴛鴦模様は、元来、中国唐からわが国にもたらされたものであろう。わが国におけるもっとも古い遺品は正倉院の「赤地鴛鴦唐草文錦(からくさもんのにしき)」とみられる。平安時代以後には鏡背意匠や、随身(ずいじん)、楽人の袍(ほう)に施された蛮絵(ばんえ)、あるいは有職(ゆうそく)に「鴛鴦の丸」が使用された。桃山・江戸時代には鴛鴦の羽毛の美しさを、刺しゅうや蒔絵(まきえ)、彩漆で表した作品が数多くつくられた。[村元雄] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例