鶴屋喜右衛門(読み)つるや・きえもん

朝日日本歴史人物事典 「鶴屋喜右衛門」の解説

鶴屋喜右衛門(3代)

生年生没年不詳
江戸時代の江戸の書肆の3代目。小林氏。家号は仙鶴堂。京都の本家は寛永年間(1624~44)から幕末まで続いた老舗。長岡氏。説教節『かるかや』(1631)や近松門左衛門の『心中天の網島』など,浄瑠璃本を扱う江戸前期を代表する草紙屋。万治年間(1658~61)に江戸に設けた出店がのちに独立し,明治まで続いた。江戸店は,錦絵も売り出す江戸有数の地本問屋に成長し,その通油町の店頭風景は『江戸名所図会』(巻1)に載せられた。2代近房の子息である3代鶴屋喜右衛門は,歌川豊国の挿画による自作絵双紙(滝沢馬琴の代作という)『絵本千本桜』で好評を得,柳亭種彦の『偐紫田舎源氏』(1829~)を刊行して一大ブームを作った。天保13(1842)年,これが絶板処分となり,以後衰退した。

(安永美恵)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

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