鹿島神宮文書(読み)かしまじんぐうもんじよ

日本歴史地名大系 「鹿島神宮文書」の解説

鹿島神宮文書
かしまじんぐうもんじよ

解説 常陸国の一宮鹿島神宮およびその社家に伝来した文書群。鎌倉初期から江戸時代に至る間の神事祭事、社領寄進状、社領目録、神職の補任符、社領をめぐる訴訟関係の文書等が含まれる。一般的に鹿島神宮文書と称する場合、原本としては、神宮所蔵の文書(本来は大宮司家文書)、水戸市在住の大宮司家の後裔鹿島則幸氏所蔵の文書、鹿島郡鹿島町在住の枝家(えだや)禰宜家後裔の塙不二丸氏所蔵の文書(本来は大禰宜家文書の一部)を包括してよぶことが多い。近世以来文書の分散が著しく、まとまった形での復原は困難であるが、静嘉堂文庫本、内閣文庫本(「楓軒文書纂」所収)、賜蘆文庫文書本等の写本を参照することにより、中世における鹿島神宮とその社領の実態をある程度把握することができる。とくに大坂西町奉行を勤めた幕臣新見正路が書写させた賜蘆文庫文書本(賜蘆文庫文書本の写本は東京大学史料編纂所所蔵)の鹿島文書には他見できない文書四六通が収められている。久寿三年頃とされる神領目録二通もこの写本のなかにみえ、同目録により、平安末期の社領の状況がうかがえる。原本および写本の伝存の状況を解説し、併せて鹿島神宮文書を活字化したものとしては「茨城県史料」中世編Iがある。なお「新編常陸国誌」にも鹿島神宮文書が収められている。

活字本 「鹿島神宮文書」一(昭和一七年)、「茨城県史料」中世編I

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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