改訂新版 世界大百科事典 「楓軒文書纂」の意味・わかりやすい解説
楓軒文書纂 (ふうけんもんじょさん)
江戸時代に成立した古文書集。彰考館出仕の史家で,民政家としても知られた水戸藩士小宮山昌秀(号楓軒)が,文化・文政年間(1804-30)に編集した模写古文書集。国立公文書館内閣文庫に自編の原本を所蔵。健筆で知られた昌秀はほかにも多くの著述をなしているが,本書もその収載範囲の全国的なことと量的な大きさは,《賜蘆文庫文書》とともに江戸時代の個人編集の模写文書集の双璧である。大部分は自筆模写で,まま他筆を交える。内容は朽木,税所,佐野,烟田,志賀,五条,阿蘇,菊池,葉室,井田,葦名,北川原森本,白河結城,須賀川相良,石川等の諸家,香取社,鹿島社,常陸吉田社,府中総社社,吉田薬王院,岩城八幡社,京都百万遍,本国寺,美濃長滝寺,三河妙源寺,大樹寺,宗像社などの社寺,ほかに韓陣文書,諸家文書などの多方面にわたっている。《内閣文庫影印叢刊》の一つとして刊行。
執筆者:後藤 紀彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報