オルトケイ酸(塩)(読み)オルトケイサンエン

化学辞典 第2版 「オルトケイ酸(塩)」の解説

オルトケイ酸(塩)
オルトケイサンエン
orthosilicic acid(orthosilicate)

酸:H4SiO4(96.12).IUPAC置換命名法による名称テトラヒドロキシシラン[CAS 62647-18-1]は構造Si(OH)4を示す.SiCl4またはオルトケイ酸エステル加水分解,または,低温でNa4SiO4とHClとを反応させてつくる.熱水に溶けるが水溶液中ではすぐに縮合が起こる.塩酸硫酸などには不溶,アルカリ水溶液やフッ化水素に可溶.高温では脱水される.エステルにはオルトケイ酸エチル(C2H5O)4Si(IUPAC名,テトラエトキシシラン[CAS 78-10-4],無色の液体.沸点169 ℃)などがある.塩:固体中では独立した四面体型のSiO4が存在するが,完全なイオン結合ではなく,共有結合性もまじった状態と思われる.合成は,計算量の金属の酸化物とSiO2とを反応条件を注意して混合溶融する.天然には,造岩鉱物のかんらん石類(Fe,Mg,Ca,Mn)2SiO4[CAS 19086-72-7など],ざくろ石類(Fe,Mn,Mg,Ca)3(Al,Fe,Cr,V,Ti)2(SiO4)3などがある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のオルトケイ酸(塩)の言及

【ケイ酸(珪酸)】より

…ふつうはオルトケイ酸H4SiO4を指すが,メタケイ酸(H2SiO3)nのほか各種の形式の酸,あるいはxSiO2yH2Oであらわされる無定形不定組成の水和二酸化ケイ素を含めた総称として用いられることもある。オルトケイ酸は,四ハロゲン化ケイ素を加水分解するか,オルトケイ酸アルカリを塩酸で処理し,生成物をエーテル,ベンゼンなどで洗浄し乾燥すると無色粉末状の化合物として得られるが,純粋にH4SiO4のみを得るのはむずかしく,H2SiO3,H2Si2O5などが混入する。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」