名手郷(読み)なてごう

日本歴史地名大系 「名手郷」の解説

名手郷
なてごう

和名抄」高山寺本には「石手」、東急本には「右手」とあるが、ともに訓を欠く。中世石手いわで(現岩出町域)に郷名が継承されたとして、高山寺本の「石手」を是とする説もあるが、近世から指摘のあるように、名手の誤写であろう。正暦五年(九九四)一二月二八日付の太政官符案(正智院文書)に「在那賀郡名手郷」、平治元年(一一五九)五月の紀伊国司庁宣(陽明文庫所蔵文書)に「那賀郡名手郷」とある。

「続風土記」は「今の粉河名手静川三荘即其地ならん、名手和名抄刻本右手と書す、是文字の誤りなり、或は右手は石手の誤にて今の岩出ノ荘の地ならんといふ、然れ共和名抄郷名の次第を推して是を考れば、名手の説を是とす、故に今改めて名手とす」とし、現那賀町名手市場なていちば辺りから、現粉河こかわ長田中ながたなか付近までの地に比定。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

今日のキーワード

五節舞

日本の上代芸能の一つ。宮廷で舞われる女舞。大歌 (おおうた) の一つの五節歌曲を伴奏に舞われる。天武天皇が神女の歌舞をみて作ったと伝えられるが,元来は農耕に関係する田舞に発するといわれる。五節の意味は...

五節舞の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android