化学辞典 第2版 「18電子則」の解説
18電子則
ジュウハチデンシソク
eighteen electron rule
有効原子番号則(effective atomic number rule),希ガス則ともいう.主として低原子価の遷移金属錯体において,中心金属のd電子数と配位子から金属に供与された電子数の和が18個のときに,その錯体がもっとも安定になるという経験則.たとえば,ニッケルテトラカルボニルNi(CO)4では,ニッケルのd電子10個と4個のCOから供与された8個の電子の合計が18個で,この電子構造の錯体は安定である.N.V. Sigwickが,G.N. Lewis(ルイス)の軽い希ガス元素と同じ8電子構造をもつと安定というオクテット説を拡張して,Kr,Xeと同じ18電子構造も安定であると提唱した.18個を超える原子価電子をもつ安定な錯体はほとんど知られていない.18電子則の例外として,16個または14個の原子価電子を有する錯体,たとえば PdⅡ,PtⅡ,IrⅠの平面型錯体が知られている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報