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室内気候 しつないきこうindoor climate

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

室内気候
しつないきこう
indoor climate

室内の空気中での物理的要因 (温度湿度気流,壁面の放射,日射) と化学的要因 (炭酸ガス臭気,じんあい,細菌など) とが総合された状態をいう。これらの条件の組合せによって,室内環境が快適になったり,不快になったりする。室内の快適度は物理的要因のうち,特に温度と湿度の組合せが重要な意味をもち,通常の着衣状態で軽作業をするときには,室温 18℃内外で,湿度 40~65%程度が最もよいとされている。室内気候と屋外気候とは建物の屋根,床,壁,天井などによって仕切られており,このために,これらの場所に使われる材料の選定によっては,室内気候が屋外気候の影響を受けやすくなる。

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世界大百科事典 第2版の解説

しつないきこう【室内気候】

室内気候とは外界の気候に対する語で,人間が住むための空間の内部の気候をいう。原始時代,屋根を掛けただけの住居や洞窟の住居も,雨風をしのぐという意味で外界とは異なった室内気候を形成した。現代では,人はより高い快適性を求めて,暖房空気調和などの手段により人工的な室内気候を作り出している。また,暖房や冷房をしなくても,屋根,壁,窓,床などで外界と遮断し,室内という居住空間を作るだけで,少なくとも外界よりは快適な室内気候が形成される。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

室内気候
しつないきこう
indoor climate

建物内の温度、湿度、気流速、熱放射などの熱環境要素によって生じる室内空気の総合的気候状態をいう。屋内気候、室内熱環境ともいう。室内は外壁によって外界と隔てられているから、室内気候は外気温湿度、日射、外部風速などの影響を直接受けるのではなく、いくぶん緩和される。その程度は、建物の構造、周壁の材料、室内物体などの熱的性質、建物の方位、換気量、室内供給熱量などに関係する。
 室内気温は室内気候を表すもっとも重要な要素であり、単に室温ともいう。室温はおもに外気温、日射量、室内供給熱量の大きさによって時間的に変動する。熱が室内に供給されると、その熱の一部は室内空気と周壁の温度を高め、その残りは壁を貫流し、あるいは換気によって室外に流失する。室内外の気温差1℃のときに1時間に室内に流入もしくは室内から流出する熱量を室の熱損失係数Wといい、室温を1℃高めたときに周壁および室内空気に蓄えられる熱量を室の熱容量Qという。また、Qに対するWの比を室温変動率といい、室温変化の速さの程度を表す。外気温、日射量、供給熱量のいずれか一つの量が大になれば室温も上昇するが、その上昇速度は室温変動率が大きい室ほど大きいので、室の熱容量が小さいほど、また室の熱損失係数が大きいほど室温は大きく変動する。れんが造、コンクリート造、土蔵などは室温変動率が小さく、暖房や外気温などの変動の影響を受けにくいが、木造、バラックなどの室温変動率の大きな建物は室温の変化が激しい。
 食物と酸素の摂取によって生み出される人体のエネルギーの約2割以下は人間の種々の動作に費やされ、残りは熱として伝導、対流、放射および水分蒸発の形態をとって体外に放散される。放熱量が産熱量よりも大きいときには、人体は寒いと感じ、体温を保つために、体温調節機能の働きによって産熱量を増加させて熱収支の均衡を保つ。最小の生理的努力によって人体の熱収支が平衡するような、暑くも寒くもない熱環境状態の範囲を快適帯といい、その示度を温度で表す場合には、これを至適温度という。
 人体の熱収支の差によって知覚される暑さ・寒さの体感に対して、熱環境の各要素が単独に作用するのではなく、各要素の種々の組合せによって総合的に作用している。したがって、これらのすべての要素を個々に評価することによって熱環境を評価することも可能であるが、この評価法は複雑であり、直観性がないので、熱環境を、できるだけ多くの要素が組み合わされた総合的な単一指標で表す評価法の研究が1910年ごろから行われてきた。その指標のおもなものに作用温度、湿り作用温度、有効温度、修正有効温度、新有効温度がある。[水畑雅行]

作用温度(OT)、湿り作用温度(HOT)

作用温度は、体感に対する気温と放射の総合効果を表す指標で、効果温度ともいわれ、OT(operative temperature)と略記される。これは、ある気温、周壁の平均放射温度の室において、人体が受ける熱量と等しい受熱をする気温および平均放射温度とを等しくした室の気温と定義されている。平均放射温度は通常の室では、その室の周壁表面温の平均値にほぼ等しい。湿り作用温度は、作用温度に湿度の影響を加味した体感指標で、HOT(humid operative temperature)と略記される。これは、ある気温、周壁平均放射温度、湿度の室において、人体が受ける熱量と等しい受熱をする湿度100%における気温および平均放射温度とを等しくした室の気温であり、上衣を着た場合の有効温度によくあうといわれている。[水畑雅行]

有効温度(ET)、修正有効温度(CET)

有効温度は、気温、湿度、風速の3要素の体感に及ぼす総合効果を表す単一指標で、1923年にホートンF. C. HoughtonとヤグローC. P. Yaglouによって提案された。これは感覚温度ともいわれ、ET(effective temperature)と略記される。ETは3要素の任意の組合せによる体感と等しい体感をもった湿度100%、無風室の気温で、多数の被験者の主観的な体感申告調査に基づいて決められた。一定の着衣および作業状態における任意の3要素の物理量の組合せから有効温度を求める図表を有効温度図という。ETは低温域では体感に及ぼす湿度の影響が過大視され、高温域では過小評価されていることが、1947年にヤグロー自身によって指摘された。また、ETには熱放射の影響が評価されていないので、これを考慮して、グローブ温度を乾球温度のかわりに用い、相当湿球温度(絶対湿度が不変で、乾球温度がグローブ温度に変化したときに示す湿球温度)を湿球温度のかわりに用いて、同じ有効温度図から有効温度を求める示度を修正有効温度といい、CET(corrected effective temperature)と略記される。ETまたはCETは体感をよく表す指標として1970年ごろまで広く用いられてきた。[水畑雅行]

新有効温度(ET*

新有効温度は、前述のETに対する批判や研究に基づいて1971年ガッゲA. P. Gaggeらによって提案され、ET*(new effective temperature)と略記される。これは、平均放射温度が気温に等しい湿度50%、無風の室の気温と定義され、軽装座位の人体に適用される。ET*は、人体の熱収支の解析に基づいて導かれたもっとも合理的な体感指標であり、ETとは本質的に異なる。ある温湿度の環境のET*を求める図表を新有効温度図という。快適帯として気温23~25℃、湿度20~60%が推奨されている。
 以上のような熱環境指標のほかに、体感に対する気温と風速の総合効果を測定するために、カタ温度計がヒルL. Hillによって1916年に考案され、これによって測定されるカタ冷却力を熱環境指標とする提案がなされたが、この指標は体感との適合範囲が限られており、今日ではあまり用いられない。カタ冷却力は風速の関数で表されるので、カタ温度計はむしろ簡易な微風速計として用いられる。[水畑雅行]

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