測定された気温と人が肌で感じる温度感覚には差異がある。体感温度とは、一般に暑いとか寒いとかで表現される身体の温度に関する感覚を数量的に表そうとしたものをいう。この感覚には環境条件(気温、湿度、気流・風速、熱放射)と人体条件(活動レベル(代謝量)と着衣量)が作用すると考えられている。そのほか、場合によっては健康状態、性別、年齢、慣れなども考慮すべき要素となる。同じ気温でも、これらの各種要素がいくつにも重なり合うことにより、温度の感じ方が変わってくる。体感温度の指標としては、環境温を湿度100%で無風時の気温で代表させたヤグローC. P. Yaglouの有効温度(ET:effective temperature)や、ファンガーP. O. Fangerが人体熱収支式から快適方程式を導き、それを温冷感表現へ拡張したPMV(predicted mean vote)などがある。ほかにも新有効温度(ET*:new effective temperature)や指標修正湿り作用温度(HOTV:corrected humid operative temperature)などが提案されている。これらの指標にはそれぞれ限界があり、すべての領域にわたって使用可能な指標はいまのところつくられていない。いままで提案されてきた温熱指標の多くはその条件や範囲が限られており、正しく使うことでより精度を高めていくようにしなければならない。
[依田珠江]
『日本生気象学会編『生気象学の事典』(1992・朝倉書店)』
人が感じる暑さ寒さの感覚は気温によるだけでなく,湿度,風速,放射量およびこれらの変化の速度などにも関係する。これらを総合した温度感覚を表示したものを体感温度という。客観的表示法として,不快指数,相当温度,実効温度などがある。気温と湿度を組み合わせた体感表示法に不快指数(高温多湿のときの不快感を示す指数)と相当温度(含まれている水蒸気の潜熱を気温の増し分として加算した温度)がある。実効温度としては,湿度100%で無風状態の温度感覚を基準にして,それと同じ温度感覚を与える気温,湿度,風速の値を実験的に求めて図表にしたものが使用されている。これは着衣の状態や労働状況によっても違った値となる。このような体感温度を直接測定するものにカタ温度計があり,これは気温,風速,放射量,湿度の総合的な効果を放射量の指標にして測定するものである。
執筆者:岡村 存
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