内科学 第10版 の解説
CADASIL・CARASIL(血管障害)
CADASIL(cerebral autosomal dominant arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy)は,常染色体優性遺伝形式をとる遺伝性脳小血管病で,皮質下のラクナ梗塞を主体とした脳梗塞を繰り返す.うつ・アパシーなどの精神症状がみられる.CARASIL(cerebral autosomal recessive arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy)は,常染色体劣性遺伝形式をとり,近親婚があることが多く,約半数で脳卒中発作を認め,残りの半数も階段状の悪化を示す.認知症,偽性球麻痺,錐体路・錐体外路症候などが進行してくる.
病態
両疾患とも遺伝子異常が示されている(表15-5-8).CADASILは大脳白質に脱髄を示し,散在性の小梗塞巣を認める.CARASILでは,HtrA1の機能異常によりTGF-βファミリーシグナルの変化がみられる.
診断
繰り返す脳卒中の病歴や特徴的臨床症状,MRI所見,遺伝子異常を確認する(表15-5-8).
治療
いまだ有効な治療法は明らかでない.[中島健二]
■文献
加藤泰介,西澤正豊,他:CADASIL(皮質下梗塞および白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症)とCARASIL(皮質下梗塞と白質脳症を伴う脳常染色体劣性動脈症).日本臨牀,69(増刊号): 320-324, 2011.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報