DIPファイナンス(読み)でぃーあいぴーふぁいなんす

ASCII.jpデジタル用語辞典 「DIPファイナンス」の解説

DIPファイナンス

企業が倒産し、民事再生法に基づいた手続き開始後に、旧経営陣に経営を任せつつ、新たな資金融資すること。「Debtor in Possession(占有を継続する債務者)」を略してDIPとよばれている。アメリカでは、国が金融機関のDIPファイナンスを奨励しているため、破産後、再生手続きに入った企業に対して盛んに融資が行なわれている。他方、日本では国によるDIPファイナンスへのサポートがないため、不良債権を持つリスクを負いたくない金融機関は総じて融資に消極的であった。そのため、DIPファイナンスは政府系金融機関が主に行なってきた事情がある。近年は金融機関の不良債権処理ヤマを超えた中、一般の金融機関によるDIPファイナンスも徐々に増えつつある。

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知恵蔵 「DIPファイナンス」の解説

DIPファイナンス

再建型倒産手続きである会社更生法や民事再生法の申し立てを行った企業に対して、当面の営業に欠かせない運転資金等を融資すること。再建企業向け融資とも呼ばれる。再建企業に対し安定的に資金を供給することで、対外的な信用力を向上させ、再建計画の円滑な履行を可能とするのが目的。金融機関にとっては、通常の融資よりも大きなリスクを負うこととなるが、その分だけ通常よりも高い収益を期待できる。日本では、2001年4月の緊急経済対策にDIPファイナンスの円滑化が盛り込まれたこともあり、日本政策投資銀行を中心に供給が増えた。当初、実施例が少なかった民間金融機関の中にも、近年は積極的に取り組むところもある。私的整理を行う企業への融資等を指す場合もある。

(吉川満 (株)大和総研常務理事 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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