知恵蔵 「DNAヘリカーゼ」の解説 DNAヘリカーゼ 酵素の一種。人で老化が早く進む症候群がいくつか知られている。その代表例、ウェルナー症候群では、白髪化、脱毛、白内障、皮膚の硬化や萎縮、成長の阻害、老人様の顔貌、しわがれ声、性腺萎縮や機能低下、動脈硬化、耐糖能の異常、骨粗鬆(こつそしょう)症、高頻度の発がんなど様々な老化に関連する兆候が生じてくる。この原因遺伝子はウェルナー症候群遺伝子(WRN)と呼ばれ、DNAヘリカーゼの領域が存在する。この領域が変異を起こすとウェルナー症候群になると考えられる。DNAヘリカーゼは、二本鎖DNAのよりを戻して一本鎖にする酵素で、DNAの複製にとって重要な役割を果たしている。この酵素の機能が失われると、老化を防ぐ様々な遺伝子が働かなくなり老化が進むものと考えられる。ヘリカーゼの異常を起こす病気には、他にもいくつかが知られている。 (今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2007年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報 Sponserd by