日本の自動車技術240選 「ESCOT」の解説
ESCOT(電子制御式変速操作装置)
製作(製造)年1995
製作者(社)日産ディーゼル工業(株)
資料の種類試作品
現状保存・非公開
型式名ESCOT
適用車種大型トラクタおよびバス
製作開始年1995
製作終了年2000
実用化年1995
装置構成変速本体(機械式変速機)、操作部(運転席)、指示部(運転席)、制御部(電子制御ユニット)、エンジン制御部(電子ガバナ用)、クラッチ制御部
変速・作動方式型式:MRT21、種類:レンジシフト式スプリッタ付前進12段変速機、ギヤシフト方式:電子制御電磁空気式
変速比(前進)1L/1H:10.729/8.702、2L/2H:6.575/5.333、3L/3H:3.649/2.959、4L/4H:2.236/1.813、5L/5H:1.464/1.187、6L/6H:1.000/0.811
変速比(後進)RevL/RevH:9.563/7.756
操作方式シフトレバー式(各段/跳びシフト切替SW及び非常用手動SW)、シフトパターン(図解)、歯車選択方式(車速及びエンジン速度)
機能・作用等シフト機能:ゼロ発進時のみ手動クラッチを操作し発進段を選択、以後走行中はレバー操作による自動シフトアップ/ダウンおよびクラッチ断続。オーバーラン防止機構、跳び越しシフト機能付き。バックアップ機能:故障発生時非常用手動変速、以上の自己診断、ミスシフトによるオーバーラン事故防止機能。
効果運転手の疲労防止とミスシフトによるオーバーラン事故の防止。最適シフト選択による燃費向上と降坂時エンジンブレーキの有効活用による安全性向上。
エピソード・話題性日本で初の電子制御を用いた大型トラック トラクタ用多段変速機半自動変速装置である。
特徴空積により車両質量が大きく変動する大型トラックトラクタ用として開発され、発進時のクラッチ操作とシフトチェンジのタイミング決定を運転者に任せ、残りの制御を自動化し、オーバードライブ付12段トランスミッションに適用した半自動多段変速機。発進時と停車直前以外はクラッチ操作が必要なく、シフトアップまたはダウンの信号によりアクセル及びクラッチ断続操作を自動化したものである。
参考文献秦信雄、西山義孝、高橋貞博、渡辺慶人、「大型トラクタ用多段TMの電子制御変速システムの開発」自動車技術会学術講演会前刷集951、P.129-132(No. 9534243)岡本勲、手代木武、岡崎昭二、秦信雄、鈴木匡、黒沢隆「電子制御変速装置(ESCOT)の開発」日産ディーゼル技報 No. 57、P. 86-91、1956.6西山義孝、中園長吉、三宅博、佐々木正和「生体反応計測による新変速システム”ESCOT”のイージードライブ性評価について」日産ディーゼル技報 No. 57、P. 33-38、1955.6
その他事項通称名:ESCOT;設計者(代表):岡本勲;開発協力会社:㈱ゼクセル(現ボッシュオートモーティブシステムズ);技術用途:大型トラックトラクタ及びバス;実物所在:単品あり、実車稼動中;表示部:インストルメントパネル組み込み;表示方式:ランプ表示;表示内容:1~6速、N、R、H/L(ハイロー);制御部:電子式半自動(非常時用手動機能付);
出典 社団法人自動車技術会日本の自動車技術240選について 情報