改訂新版 世界大百科事典 「NIP」の意味・わかりやすい解説
NIP (エヌアイピー)
ニップ(商品名)ともいう。ジフェニルエーテル系の除草剤で,アメリカのローム・アンド・ハース社によって開発され,1956年に日本に紹介された。非ホルモン系の除草剤で,選択性はない。この薬剤は,土壌処理において土壌の表面の比較的浅い部分に吸着され,深部には移行しない性質を有する。したがって,土壌表面に生育する雑草は接触的に殺草されるが,深部に根を張っている作物は害を受けない。この性質を利用して,粒剤はイネ移植後の水田土壌処理除草剤として使用されることが多く,乳剤および水和剤は,畑作用除草剤として用いられた。現在,NIPは日本の農薬登録からはずれており,類似の除草剤としてCNP(商品名MO,エチオン),クロメトキシル(商品名エックスゴーニ,Difenexなど),ビフェノックス(商品名モーダウン)などが登録されている。毒性は50%致死量LD50=2630mg/kg(ラット)。
執筆者:高橋 信孝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報