化学辞典 第2版 「P-糖タンパク質」の解説
P-糖タンパク質
ピートウタンパクシツ
P-glycoprotein
多剤耐性遺伝子産物ともいう.細胞内に蓄積した有害な代謝産物や,薬物などの異物をATPの助けを借りて細胞外に排出する輸送体.抗がん剤が効かなくなる多剤耐性の原因分子でもある.ニューロンの活動を守るために,脳の血管は異物を通しにくくなっているが,この血液-脳関門の実体もP-糖タンパク質と考えられている.語源はp = permeability.ATP-binding cassette(略称ABC)を有するABC transporter superfamilyの一員で,次のようにABCの何番とよぶ命名法が提唱されている.例:ABCB1(旧略号PGP or MDR1),ABCC1(MRP1),ABCG2(MXR or BCRP).
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報