改訂新版 世界大百科事典 「PIE症候群」の意味・わかりやすい解説
PIE症候群 (ピーアイイーしょうこうぐん)
PIE syndrome
胸部X線写真で肺に浸潤陰影がみられ,末梢血で好酸球増加症を呈する症候群。病名はpulmonary infiltration with eosinophilia(好酸球増加を伴う肺浸潤)の頭文字をとったもので,1952年にリーダーW.H.ReederとグッドリッチB.E.Goodrichによって提唱された。肺好酸球増加症ともいう(クロフトンJ.W.Crofton,1952)。アレルギー性の機序によって発症し,Ⅲ型アレルギーが中心であるが,Ⅰ型アレルギーの関与も考えられている。病理学的には肺胞,間質のみならず,気道壁,血管壁にも好酸球の浸潤がみられる。この症候群は単純性肺好酸球増加症(レフラー症候群),遷延性肺好酸球増加症,熱帯性好酸球増加症,喘息(ぜんそく)を伴う肺好酸球増加症(アレルギー性気管支肺アスペルギルス症),結節性多発性動脈炎および周辺疾患の五つに分類されている。症状は肺病変の範囲によって決まる。範囲が小さければ軽度の咳,痰にとどまるが,広範囲になると労作時の息ぎれが出現する。治療として副腎皮質ホルモン剤を使用する場合もある。
執筆者:伊藤 新作
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報