大学事典 「SPS」の解説
SPS
エスピーエス
学生助育。アメリカのカレッジ・大学が,おもに教育・研究以外の領域で提供する体系的な学生向けサービス。19世紀末までのカレッジは,「in loco parentis(親代わり)」の立場から,年齢も低かった学生の生活全般を監督した。主要なカレッジ・大学の大規模化,学生の青年化,教員の専門研究・教育への特化に伴い,「学生」を冠した独立の役職や部局が出現し,学生の監督・援助・助言活動を拡充した。学資の援助,健康の維持・管理,学業・職業・人生問題上のガイダンス,クラブ・自治活動への補助は20世紀前半からSPSの中核であったが,後半には留学生向けのカウンセリングも充実した。現代では多様性への強調を受け,アフリカ系およびネイティブ・アメリカ人等の活動センター設置や障害者の学業参加への条件整備,ボランティア活動への援助が重視され,他方ではハラスメントや犯罪のないキャンパスづくりが課題である。SPS専門家には,発達心理学からグローバル化論に至る広い知見が求められている。
著者: 立川明
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報