vonHippel-Lindau病

内科学 第10版 の解説

von Hippel-Lindau病(ファコマトーシス(母斑症、神経皮膚症候群))

(4)von Hippel-Lindau病(執印,2011)
概念・病因・病態
 小脳・網膜・腎臓などに家族性に腫瘍が多発する疾患で,3番染色体(3p25)に存在するVHL遺伝子の異常による常染色体優性遺伝の疾患である.
臨床症状
 脳脊髄,腎などの多臓器に腫瘍性あるいは囊胞性の病変の発生がみられる.小脳・脳幹・脊髄の血管芽腫,網膜血管腫褐色細胞腫,腎細胞癌,膵神経内分泌腫瘍,囊胞性病変(膵臓,腎臓,精巣上体),内耳リンパ囊腫などが成人期に両側性に多発する.小脳血管芽腫は,脳圧亢進症状や小脳失調を呈する.網膜血管腫は出血から網膜剥離をきたすことがある.
診断
 家族歴がある場合には本症にみられる病変が1つでもあれば診断され,家族歴がない場合には,本症でみられる腫瘍が異なる2つ以上の臓器で認められれば診断される.
治療・予後
 本症と診断された場合,また遺伝子検査にて異常が認められた場合には,定期的な画像検査などを行うことが推奨されている.[岡 明]
■文献
Gutmann DH, Aylsworth A, et al: The diagnostic evaluation and multidisciplinary management of neurofibromatosis 1 and neurofibromatosis 2. JAMA, 278: 51-57, 1997.
Neurofibromatosis. Conference statement. National Institutes of Health Consensus Development Conference. Arch Neurol, 45: 575-578, 1988.
Roach ES, Gomez MR, et al: Tuberous sclerosis complex consensus conference: revised clinical diagnostic criteria. J Child Neurol, 13: 624-628, 1998.
執印太郎:フォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)病診療ガイドライン,中外医学社,東京,2011.
Thiele EA, Korf BR: Phakomatoses and allied conditions. In: Swaiman’s Pediatirc Neurology: Principles and Practice, 4th ed (Swaiman KF, Ashwal S, et al eds), pp497-517, Mosby, Philadelphia, 2012.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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