精選版 日本国語大辞典 「小脳」の意味・読み・例文・類語
しょう‐のう セウナウ【小脳】
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脊椎(せきつい)動物の脳を構成する一要素。中枢神経(脳と脊髄)のうち、内耳から平衡感覚を受け、また全身の筋、腱(けん)、関節などに存在する感覚受容器から刺激を受けて筋肉の緊張を保ち、筋肉運動の調節をつかさどる機能をもつ部分である。第四脳室前端部付近の外胚葉(がいはいよう)から発生し、第四脳室を後上方からテントのように覆っている。後脳(小脳と橋(きょう))では背側部を占め、後頭蓋窩(こうとうがいか)に収容されている。比較解剖学的にみると、運動が敏速で、かつ細かい運動をする動物の小脳は概して発達がよく、硬骨魚類、鳥類、哺乳(ほにゅう)類ではよい発育を示し、緩慢な運動をするヒキガエル、イモリなどの両生類、爬虫(はちゅう)類などでは発育が悪くて小さい。なお、ヒトの小脳の重さは、およそ130~150グラムとされる。
ヒトの小脳は上面が多少扁平(へんぺい)で下面は突出し、左右両側は著しく膨大している。この膨大部が小脳半球で、中央部の細い部分が虫部(ちゅうぶ)である。上面では小脳半球と虫部との境は明瞭(めいりょう)でないが、下面は虫部部分が深く陥没し、ここを小脳谷(こく)とよび、延髄部分が収まっている。小脳谷では小脳半球と虫部とは深い溝で明瞭に境ができている。下面には小脳と他の脳幹部を連絡する小脳脚(きゃく)があり、脳幹部の延髄、橋、中脳と結合している。小脳脚は上、中、下の3対の部分に分けられ、下小脳脚は脊髄、延髄からの伝導路が通り、中小脳脚は小脳と橋とを連絡しており、高等な哺乳動物では、とくに橋の発達がよいので、中小脳脚も太くて外観的にも明瞭である。上小脳脚はおもに小脳から中脳、間脳へと出ていく伝導路が通る部分である。
小脳全表面にはほぼ平行に走る小脳溝(こう)があり、この溝の間のしわの高まりが小脳回である。小脳溝のなかにはとくに深い溝がいくつかあり、その間に多数の小脳回があり、集合して小脳葉を形成し、小脳表面を区分している。これらの小脳葉、あるいは小脳各部には名称がつけられているが、いずれもその外形によっての名称であるため、たとえば、ヒトの小脳の名称はヒトにだけしか通用しないものとなっている。脊椎動物全体として小脳をみた場合、虫部と小脳下面の片葉という部分は鳥類以下にも存在する古い系統の小脳であり、小脳半球は哺乳類になって初めて現れる新しい系統の小脳となっている。小脳表層は厚さ1ミリメートルほどの灰白質で、神経細胞が配列し、小脳皮質を形成している。小脳皮質はしわ(小脳回)を形成することによって表面積を極度に拡張している。皮質には3層の神経細胞層があり、小脳へ入る神経線維を受けるほか、小脳から中脳や間脳へ神経線維を出している。第3層の顆粒(かりゅう)細胞層は人体の組織ではもっとも細胞の分布密度が高い部分である。第2層にはプルキンエ細胞とよぶきわめて特殊な西洋ナシ状の大型細胞が1層に配列しているのが特徴である。小脳の中心部は神経線維が充満する髄質で、第四脳室に近い部位には4種類の灰白質塊、すなわち小脳核が対(つい)をなして存在し、歯状核、栓状核、球状核、室頂核とよぶ。これらの核は小脳への求心性線維やプルキンエ細胞からの線維を受け、中脳、間脳へ遠心性線維を出している。なお、室頂核は前庭神経系と関係する神経細胞群である。小脳の虫部に障害があると躯幹(くかん)の運動や姿勢保持に関係する運動障害がみられ、千鳥足のような症状が現れる。また、小脳半球に障害があると四肢の運動失調が障害側の手足にみられる。
[嶋井和世]
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(今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2007年)
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…したがってα運動ニューロンを最終共通路ともいう。この場合,α運動ニューロンの活動は大脳基底核,小脳,脳幹などの働きで調節され,それによって精妙で複雑な運動が可能となっている。一見,随意運動として合目的で円滑な運動も,その背後に比較的単純な脊髄,脳幹レベルでの反射に基づいていることがしばしばある。…
… 一方,この最終共通経路に対して中枢神経の四つのおもな系統の調節系が作用を及ぼして,随意運動や不随意な自動的運動が営まれている。それは,(1)大脳皮質運動野からの系統(錐体路系),(2)脳幹網様体などに由来する系統,(3)小脳系,(4)大脳基底核系であり,これらの病変によって種々の運動障害が生じる。
[錐体路系の運動障害]
大脳皮質運動野にある神経細胞であるベッツ巨大錐体細胞から出た軸索は,脳幹や脊髄の運動ニューロンに達して,シナプスで連絡する。…
…側脳室を囲む部分を終脳(正確には,左右の大脳半球と終脳の不対部),第三脳室を囲む部分を間脳,中脳水道を囲む部分を中脳,第四脳室を囲む部分を菱脳とする。さらに菱脳の前半部(後脳)からは小脳と橋(きよう)が分化し,菱脳の後半部は延髄(髄脳)として脊髄に連続する。 成人の脊髄は身長の28~29%の長さがあるが(日本人では40~47cm),脳と脊髄の重量比は約55対1であり,中枢神経系において脳の占める割合がいかに大きいかがわかる。…
※「小脳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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常に身に迫る一触即発の危険な状態をいう。シラクサの僭主ディオニュシオス1世の廷臣ダモクレスが王者の幸福をたたえたので,王がある宴席でダモクレスを王座につかせ,その頭上に毛髪1本で抜き身の剣をつるし,王...
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