改訂新版 世界大百科事典 「カーリー」の意味・わかりやすい解説
カーリー
Kālī
ヒンドゥー教の主神シバの妃であるドゥルガー(別名パールバティー,ウマー,ガウリー)が恐ろしい形相をとった時の呼称とされるが,元来は別の神格であったようである。カーリー女神は牙のある口から長い舌をだらりとたらし,黒くて瘦せ細ったおぞましい姿で図像化される。しばしば4本の腕を持ち,その一つ一つに,パーシャ(捕縄),カトバーンガ(先に頭蓋骨のついた杖),剣,生首を持つ。この女神はタントラ教の諸派で本尊とされ,中世には,この女神に墓地で人身御供を捧げる魔女(ヨーギニー,ダーキニー)たちの群れが暗躍したという。現代でも,コルカタ(旧カルカッタ)のカーリガート寺院で,この女神のためにヤギの首を斬るなど血なまぐさい儀式が行われている。
執筆者:上村 勝彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報