改訂新版 世界大百科事典 「ドゥルガー」の意味・わかりやすい解説
ドゥルガー
Durgā
ヒンドゥー教の大女神。シバ神の妻。パールバティーPārvatī,ウマーUmā,ガウリーGaurī,カーリーなどの別名をもつが,これらは元来別の女神であったと考えられている。ドゥルガーは〈超え難い女性〉という意味で,悪魔たちを殺す恐ろしい女性戦士とみなされている。特に,ライオンにまたがり,10本の腕に武器を持って水牛(マヒシャMahiṣa)の姿をとった悪魔(アスラ)を殺す場面は,しばしば絵画や彫刻の題材となっている。彼女が血なまぐさい狂暴な姿をとるときはカーリーと呼ばれる。この女神に対し,人身献供が行われたこともあり,現在でもドゥルガー・プージャーDurgā-pūjāの際には,ヤギなどの動物が生贄とされる。この女神は,シバ神のシャクティ(性力)として熱狂的な信仰の対象となった。
執筆者:上村 勝彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報