ドゥルガー(英語表記)Durgā

改訂新版 世界大百科事典 「ドゥルガー」の意味・わかりやすい解説

ドゥルガー
Durgā

ヒンドゥー教の大女神シバ神の妻。パールバティーPārvatī,ウマーUmā,ガウリーGaurī,カーリーなどの別名をもつが,これらは元来別の女神であったと考えられている。ドゥルガーは〈超え難い女性〉という意味で,悪魔たちを殺す恐ろしい女性戦士とみなされている。特に,ライオンにまたがり,10本の腕に武器を持って水牛(マヒシャMahiṣa)の姿をとった悪魔(アスラ)を殺す場面は,しばしば絵画や彫刻題材となっている。彼女が血なまぐさい狂暴な姿をとるときはカーリーと呼ばれる。この女神に対し,人身献供が行われたこともあり,現在でもドゥルガー・プージャーDurgā-pūjāの際には,ヤギなどの動物が生贄とされる。この女神は,シバ神シャクティ(性力)として熱狂的な信仰の対象となった。
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百科事典マイペディア 「ドゥルガー」の意味・わかりやすい解説

ドゥルガー

ヒンドゥー教の女神,シバの妃。カーリー異名。血なまぐさい女戦士と観念され,獅子にまたがり,10本の手に武器をもって悪魔を殺す場面は画題として作例が多い。
→関連項目クマリ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドゥルガー」の意味・わかりやすい解説

ドゥルガー

「パールバティー」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のドゥルガーの言及

【インド神話】より

…シバの妃はパールバティーPārvatī(〈山の娘〉の意)である。彼女はヒマラヤの娘とされ,また,ウマー,ガウリー,ドゥルガーなどとも呼ばれ,血なまぐさい狂暴な姿をとるときは,カーリーと呼ばれる。軍神スカンダ(韋駄天)と象面のガネーシャ(聖天)は,シバとパールバティーの息子とされる。…

【カーリー】より

…ヒンドゥー教の主神シバの妃であるドゥルガー(別名パールバティー,ウマー,ガウリー)が恐ろしい形相をとった時の呼称とされるが,元来は別の神格であったようである。カーリー女神は牙のある口から長い舌をだらりとたらし,黒くて瘦せ細ったおぞましい姿で図像化される。…

【ダシャハラー】より

…秋の始まりを祝う祭りで,秋まきの小麦の予祝を含み,またそれぞれの家業で用いる道具を供養する仕事納め,仕事始めの要素ももつ。初めの9日間はドゥルガー・プージャーと呼ばれ,人々は断食し,ドゥルガー女神に賛歌,音楽,舞踊をささげる。最終日には神像を川で沐浴させる場合もある。…

【ビンディヤ[山脈]】より

…ビンディヤは命に従って頭を低く垂れたが,アガスティヤはその道を通ったまま戻ってこなかったので,ビンディヤはそれ以来ヒマラヤの高さに及ばなくなったという。またビンディヤ山にすむ水牛の姿をした悪魔マヒシャは,シバ神の神妃ドゥルガーに殺され,この山はドゥルガー女神の住所となった。そのためドゥルガーのことを〈ビンディヤ・バーシニー〉(〈ビンディヤに住む女〉の意)と呼ぶようになった。…

※「ドゥルガー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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