つぶつぶ

精選版 日本国語大辞典 「つぶつぶ」の意味・読み・例文・類語

つぶ‐つぶ

[1] 〘副〙 (多く「と」を伴って用いる)
[一] (「粒粒」の意か) 物が粒状であるさまを表わす語。
① 文字をすらすらと書き続けないで、はなち書きに書くさまを表わす語。ぽつぽつ。
源氏(1001‐14頃)夢浮橋「かくつぶつぶと書き給へるさまの」
② 涙、血、水などが粒のようになって流れ出るさまを表わす語。ぽたぽた。
※宇津保(970‐999頃)楼上上「いといみじう胸ふたがる心地し給て、涙のつぶつぶと落ち給ふを」
③ 粒状でころころしているさま、また、一面に粒状のものが付いているさまや、粒状のものが入っているさまを表わす語。ぽつぽつ。ぷつぷつ。
※俳諧・三河小町(1702)上「つふつふと兎の糞や萩すすき〈桃先〉」
[二] (「円円」の意か。「つぶら」と関係あるか) まるまると肥えているさま、ふっくらとしているさまを表わす語。
※源氏(1001‐14頃)横笛「いとよく肥えて、つぶつぶとをかしげなる胸をあけて」
[三] (「つぶさ・つばら」と関係あるか)
① こまごまとくわしいさまを表わす語。つまびらか。
蜻蛉(974頃)上「いかでつぶつぶと言ひ知らするものにもがなと」
② すっかり完全なさまを表わす語。
今昔(1120頃か)三一「妻、経方が彼(かしこ)にて云つる事を一言も不落さず、つふつふと云ふに」
[四] (その音から)
① 胸さわぎなどのするさま、思いがあまって胸がどきどきするさまを表わす語。どきどき。
※蜻蛉(974頃)中「胸つぶつぶとはしるに」
② 針などを無造作に刺すさまを表わす語。ぷつぷつ。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「その針をぞ〈略〉君の御したがひの御くびに、つぶつぶと長く縫ひつけて」
③ 物などを無造作に切るさまを表わす語。ぶつぶつ。
※今昔(1120頃か)二〇「つぶつぶと切て、鍋(かなへ)に入れて煮て」
煮物の煮えたつ音を表わす語。
徒然草(1331頃)六九「豆を煮ける音のつぶつぶと鳴るを聞き給ひければ」
⑤ 口の中で、ぶつぶつ言うこと。経文を唱えたり、不平を言ったりするさまを表わす語。ぶつぶつ。
有明の別(12C後)一「拝み、ぬかづき、即往安楽世界など文々句々、つぶつぶとよみひびかし給へるけも、ききよくもあらず」
[2] 〘形動〙 (一)(一)③に同じ。
パルタイ(1960)〈倉橋由美子〉「その顔の白いつぶつぶの汗は」

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