小説家。高知県香美郡(かみぐん)生まれ。明治大学仏文科を経て同大学院中退。大学4年在学中に『パルタイ』(1960)を発表、翌年女流文学賞を受ける。カフカ、サルトルら実存主義的な手法を巧みに取り入れ、当時流行の反小説を標榜(ひょうぼう)し、女流文学に新分野を開いて注目された。初期短編、および長編小説『聖少女』(1965)、『妖女(ようじょ)のように』(1966)など、若い女性の生理感覚的イメージが強い。アメリカのアイオワ州立大学留学(1966~67)後は、ややその前衛的作風を変えたが、『スミヤキストQの冒険』(1969)、『ヴァージニア』(1970)、『反悲劇』(1971)、『夢の浮橋』(1971)、『城の中の城』(1981)、『アマノン国往還記』(1986。泉鏡花賞)などいずれも寓話(ぐうわ)的な抽象小説というべきで、第二次世界大戦後のいわゆる戦後思想に対する風刺が一貫していた。近年は翻訳活動でも注目された。
[田中美代子・橋詰静子]
『『倉橋由美子全作品』全8巻(1975~76・新潮社)』▽『『城の中の城』(新潮文庫)』▽『『アマノン国往還記』(新潮文庫)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
少子化とは、出生率の低下に伴って、将来の人口が長期的に減少する現象をさす。日本の出生率は、第二次世界大戦後、継続的に低下し、すでに先進国のうちでも低い水準となっている。出生率の低下は、直接には人々の意...
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