クマノコガイ(読み)くまのこがい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クマノコガイ」の意味・わかりやすい解説

クマノコガイ
くまのこがい / 熊の子貝
[学] Chlorostoma xanthostigma

軟体動物門腹足綱ニシキウズガイ科の巻き貝。房総半島以南の日本全国から台湾、中国沿岸にかけて分布し、潮間帯の岩礁小石の間にごく普通にみられる。殻高35ミリメートル、殻径37ミリメートルに達し、殻は厚く、側面のやや膨らんだ円錐(えんすい)形。殻表は黒色で、殻表に畝(うね)はなく滑らかである。殻底はやや平らで、臍孔(へそあな)は開かず浅くくぼむだけで周りは鮮緑色となり、軸唇には歯状突起がある。殻口内は真珠光沢がある。蓋(ふた)は褐色で丸く、多旋形。クボガイC. argyrostoma lischkeiなどとともに「いそもの」とか「いそ玉」と総称され、食用とされる。

[奥谷喬司]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クマノコガイ」の意味・わかりやすい解説

クマノコガイ
Tegula xanthostigma

軟体動物門腹足綱ニシキウズガイ科。殻高,殻径とも 3.5cm。殻は円錐形,黒色もしくは淡緑色で厚質堅固,成長脈や螺肋は弱く,殻表は平滑。体層は大きく,殻底はやや平らで,殻口は前倒しに傾く。殻口縁の軸唇は臍孔を埋めて緑色を帯び,ここに牙状突起がある。殻口内は真珠光沢が強い。ふたは褐色,革質で丸く,多旋型。房総半島以南,台湾,中国沿岸の潮間帯の岩礫底にすむ普通種。クボガイなどとともに磯物と称して食用にする。

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世界大百科事典(旧版)内のクマノコガイの言及

【クボガイ(久保貝)】より

…近縁の臍孔(せいこう)が開いているヘソアキクボガイC.a.turbinatumはこの種の北方に多い型である。クマノコガイC.xanthostigmaは全体黒色で殻表に肋がない。房総半島以南の潮間帯岩れき地に分布する。…

※「クマノコガイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」