日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノーブイ・ミール」の意味・わかりやすい解説
ノーブイ・ミール
のーぶいみーる
Новый Мир/Novïy Mir
「新世界」の意。ロシアの代表的な月刊文芸誌でソ連時代の1947年からソ連作家同盟の機関誌であったが、91年に独立した。ルナチャルスキーが初代編集長(1925~26)になり、モスクワで創刊。バーベリ、パステルナーク、レオーノフ、ショーロホフらの名作を掲載し、とくに56年のスターリン批判以後、文壇進歩派の拠点とみられ、世界的に注目されていた。ソルジェニツィン、エレンブルグ、ネクラーソフ、カターエフ、エフトゥシェンコ、モジャーエフ、トリーフォノフ、アブラーモフらの問題作を次々に発表して話題をよんだ。詩人トワルドフスキーがシーモノフ(1946~50、1954~58)に次いで編集長に就任、名編集長として辣腕(らつわん)を振るい、党機関や文壇保守派から編集内容を再三非難され、70年初頭に解任された。86年作家ザルイギンが新編集長に就任。ペレストロイカ時代にパステルナークの『ドクトル・ジバゴ』、ソルジェニツィンの『収容所群島』など発禁作を掲載して人気を集め、90年には発行部数が250万を超えたが、その後は紙不足などの理由で激減した。
[中本信幸]