新世界(読み)シンセカイ(その他表記)Nuevo Mundo[スペイン]

デジタル大辞泉 「新世界」の意味・読み・例文・類語

しんせかい【新世界】[地名・書名]

大阪市浪速なにわ区、天王寺公園の西に接する繁華街。明治36年(1903)に開かれた内国勧業博覧会の跡地の西半分に設けられた。通天閣などで知られる。
小尾十三の小説。昭和40年(1965)刊。

しん‐せかい【新世界】

大航海時代以降にヨーロッパ人が新しく発見した、南北アメリカオセアニアなどの地域をいう。特に、アメリカをさしていうこともある。⇔旧世界
新しく生活したり活動したりする場所。新天地
[補説]地名・書名別項。→新世界

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精選版 日本国語大辞典 「新世界」の意味・読み・例文・類語

しん‐せかい【新世界】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. ヨーロッパ人によって新しく開拓された大陸。特に南北アメリカおよびオーストラリア。新大陸。⇔旧世界
      1. [初出の実例]「南北広大の土地ありて、南北共に亜墨利加(アメリカ)洲と名く、則(すなわち)新世界と云なり」(出典:和蘭通舶(1805)一)
    2. 新しく生活したり活動したりする場所。新天地。
      1. [初出の実例]「此制限を一掃せしより後は、恰も学者のために新世界を開きしが如く」(出典:学問のすゝめ(1872‐76)〈福沢諭吉〉一〇)
    3. 旧約聖書」創世記のノアの方舟(はこぶね)以後、キリスト誕生までの間をいう。
      1. [初出の実例]「ノアークと云ふ人、再び天地の災を納めんと、大功を施し改革せしと云へり、是即ち此後を中世と云ふ、俗に新世界と云へり」(出典:倭蘭年表(1855)上)
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] 大阪市浪速区の東南部、恵美須東一帯の地域の呼称。天王寺公園の西に隣接する。大衆的娯楽街。通天閣がある。
    2. [ 二 ]しんせかいより(新世界より)

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改訂新版 世界大百科事典 「新世界」の意味・わかりやすい解説

新世界 (しんせかい)
Nuevo Mundo[スペイン]

15世紀から16世紀にかけてヨーロッパ人(とくにスペイン人)が発見した現在の南北アメリカ,カリブ海諸島の呼称。この言葉は1502年から04年ころにパリで発行されたとされるアメリゴ・ベスプッチの書簡体の小冊子《新世界Mundus novus》で初めて用いられた。1499年から1504年にいたるまで,イタリア人ベスプッチはスペイン国王,のちにはポルトガル国王に仕えて,現在の中央アメリカからブラジルアルゼンチンに達する海岸線を調査し,コロンブスらが発見した土地がヨーロッパとアジアの中間に位置する新大陸,すなわち新世界であることを認めた。しかし,この認識は,〈世界はアジア,アフリカとヨーロッパの三大陸からなる〉という当時の一般的な地理観からは受け入れられなかった。ただドイツ人地理学者マルティン・ワルトゼーミュラーがベスプッチの新大陸説を支持し,西半球の土地にアメリゴにちなんでアメリカという名を付した。もっとも,アメリカという呼称は当初限られた地域(例えばブラジル,アルゼンチン,チリ)に用いられ,それを大陸全土に適用したのは有名な地図製作者メルカトルである(1538)。しかし,スペインおよびその植民地では19世紀にいたるまでインディアスという言葉が一般に用いられた。〈新世界〉という呼称は以後数多くの著述家によって用いられるが,それは厳密な地理学上の用語というよりはむしろ,ヨーロッパ人によって新しく発見された世界,ヨーロッパ人からみて,自分たちとは異なる人間,自然,文化が存在する異質な世界という意味で用いられることが多かった。したがって16世紀から19世紀にかけて出版された〈新世界〉を扱った大半の作品には,エキゾティシズムとヨーロッパ,すなわちラテン・キリスト教世界を世界の中心と考えるエスノセントリズムが流れている。
執筆者:


新世界 (しんせかい)
Xīn shì jiè

中国,上海で1915年に作られた総合遊戯場。すでに上海には屋上庭園とよばれる展望台と娯楽演芸とを組み合わせた施設が流行していたが,演劇,歌舞,講談,曲芸,幻灯,スケート場等の新旧娯楽を1ヵ所に集中して,食堂,喫茶部等をも配し,比較的安い料金で多くの演目を楽しめるようにした新趣向の娯楽施設である。創業時の入場料は2角,1ヵ月の月極めは3元。内外の文明の接点である開港場にふさわしいものとして大衆にうけ,家族ぐるみの行楽の場として上海市民の娯楽に新生面を開いたのみならず,しだいに他都市にもひろがっていった。17年には大規模な大世界が出現し,その後さらに似たようなものが数多く生まれた。同年には中国最初の百貨店である先施公司も出現したが,中華民国となって数年,上海の市民生活は大きく変貌しはじめた。なおかつての大世界は,解放後,上海市の少年宮とされている。
執筆者:


新世界 (しんせかい)

大阪市浪速(なにわ)区にある天王寺公園西隣の歓楽街。1903年に開かれた第5回内国勧業博覧会の跡地の東半分を天王寺公園とし,1912年西側に新世界をつくった。中央にパリのエッフェル塔をまねた通天閣(高さ75m)が建ち,ルナパークと称する娯楽場,映画館,演芸場などの並ぶ歓楽街としてにぎわった。通天閣は第2次世界大戦中撤去され,1956年に現在の高さ103mのものが再建された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「新世界」の意味・わかりやすい解説

新世界(大阪市)
しんせかい

大阪市浪速区(なにわく)恵美須東(えびすひがし)、市立天王寺公園の西に隣接する歓楽街。1903年(明治36)開催の第5回内国勧業博覧会場跡地を、1909年東半部を天王寺公園に、1912年西半部を大阪土地建物会社経営の新世界として開発した。中心にはパリのエッフェル塔を模倣した通天閣(つうてんかく)(75メートル)を建て、放射状計画街路の娯楽場(ルナパーク)を設けた。一帯には映画館、噴泉浴場、飲食店などが集中、一大歓楽街として繁栄を誇った。第二次世界大戦で戦災を受けて荒廃。戦後、通天閣(103メートル)を再建、復興を図ったが、ミナミの繁栄に押されて昔日のおもかげは薄れた。林芙美子(ふみこ)の小説『めし』や、歌謡曲『王将』の舞台として庶民に親しまれている。

[位野木壽一]



新世界(世界史用語)
しんせかい

ユーラシア、アフリカに対して、15世紀末の大航海時代以降に新しく発見され、世界史に登場するようになった地域。旧世界に対する語。南北アメリカとオセアニアおよび太平洋などの海域をさす。海域を除けば新大陸と同義。

[編集部]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「新世界」の解説

新世界(しんせかい)
mundus novus[ラテン],New World[英]

アメリゴ・ヴェスプッチが,1501~02年の航海で,南アメリカ東岸に沿って南緯52度あたりまで航海した結果,この大陸塊をそれまで知られていなかった新しい世界だと考え,03年末頃に「新世界(Mundus novus)」というパンフレットを刊行した。その情報にもとづいて,07年人文学者マルティン・ヴァルトゼーミュラーが,フランスのサンディエでプトレマイオスの『宇宙誌入門』の新版を刊行したとき,それに付した世界図に細長くアメリカ大陸を描き込み,それを,独立の新世界と認識した人物にちなんで,アメリカと呼ぶことを提案した。ただし,アメリカが独立の新世界として一般に認識されるのは16世紀末まで待たねばならず,それまではインディアスという中世的な呼称が平行して使われ続けた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新世界」の意味・わかりやすい解説

新世界
しんせかい
Novyi mir

ロシアの月刊文芸雑誌。ソ連作家同盟の機関誌の一つで,1925年1月に創刊される。初代編集長は A.ルナチャルスキーで,20年代には,M.ゴーリキーの『クリム・サムギンの生涯』や A.ベショールイの『血で洗われたロシア』などの大作,V.マヤコフスキーや S.エセーニンの詩を掲載し,30年代には M.ショーロホフ『開かれた処女地』『静かなドン』をはじめ,L.レオーノフ,V.イワーノフの傑作を発表。第2次世界大戦後も,A.トワルドフスキーが編集長となっていたフルシチョフ時代には I.エレンブルグ,A.ソルジェニーツィンの作品を掲載し,雪どけ派の牙城となっていた。

新世界
しんせかい

大阪市浪速区南東部の一地区。天王寺公園の西に隣接する歓楽街で,1903年開催された第5回内国勧業博覧会の会場跡の西半分が大衆娯楽地とされたもの (東半分が天王寺公園) 。中心にある通天閣 (当初の高さ 75m。再建後 103m) は,パリのエッフェル塔の模倣といわれ,第2次世界大戦中取りこわされたが,56年再建され,新世界のシンボルとして復活。映画館,劇場,飲食店が集中し,東京の浅草六区と対比される。南へ通じるジャンジャン横丁林芙美子の『めし』の舞台として有名。

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百科事典マイペディア 「新世界」の意味・わかりやすい解説

新世界【しんせかい】

大阪市浪速(なにわ)区南東部の一地区。天王寺公園の西隣にあり,1903年開催の第5回内国勧業博覧会跡地にあたる。通天閣を中心に映画館,劇場,飲食店が集まり,庶民的な娯楽街をなしている。南に小料理屋,飲食店が並ぶジャンジャン横丁が続く。

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デジタル大辞泉プラス 「新世界」の解説

新世界〔施設〕

東京都港区西麻布にあるライブ・スペース。2010年、小劇場「自由劇場」の跡地に「音楽実験室・新世界」としてオープン。2016年にリニューアルし、音楽に限らず演劇やパーティーなどさまざまなイベントに利用できるスペースとして運営している。

新世界〔果物〕

群馬県で生産されるリンゴ。晩生。大玉で、果実は濃紅色。糖度は14度程度と甘く、蜜がよく入る。香りよく果汁が多く、食味は良好。群馬県の育成品種で、1988年に品種登録。

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世界大百科事典(旧版)内の新世界の言及

【ベスプッチ】より

…のち1501‐02年と03‐04年,ポルトガル国王マヌエルの要請で東インドへの航路の発見などを目的としてブラジル沿岸へ航海。ベスプッチはこのとき目撃した土地がアジアではないと確信し,数通の書簡の中で〈新世界Mundus Novus〉という言葉を用いて新大陸であることを記した。これらの書簡は1503年に公刊されると,たちまちにして多数の読者を獲得し,各国語に翻訳された。…

※「新世界」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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