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トリーフォノフ Yurii Valentinovich Trifonov

世界大百科事典 第2版の解説

トリーフォノフ【Yurii Valentinovich Trifonov】

1925‐80
ソ連邦作家。赤軍将官の家庭に生まれたが,父は1938年にスターリン粛清にあった。49年ゴーリキー文学大学を卒業と同時に小説を書き始め,《大学生》(1950)で国家賞を受賞した。それ以降,多くの作品を書き続けたが,60年代に入って以来,主としてモスクワに住む知識人の日常のなかにひそむ危機と荒廃を追求する主題を展開して,60年代以降のソビエト文学を代表する作家となった。《交換》(1969),《もうひとつの生活》(1975),《川岸の館》(1977),《老人》(1978)などは革命も戦争も過去となった都市の住民の日々を描いたものである。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

トリーフォノフ
とりーふぉのふ
Юрий Валентинович Трифонов Yuriy Valentinovich Trifonov
(1925―1980)

ソ連の作家。モスクワの軍人の家庭に生まれる。中学を卒業後、飛行機工場で働き、ゴーリキー文学大学に入学、1949年に卒業。1947年より短編を発表、卒業制作の最初の長編『学生達』(1950発表、1951国家賞受賞)によってデビューする。1951年作家同盟に加入し、その後ソ連各地を放浪し、いくつかの短編、戯曲などを書きながら第二の長編を準備、運河建設を題材とした『渇を癒(いや)す』(1963)を書き上げる。1965年、かつて粛清された父親を描く作品『焚火(たきび)の照り返し』を、66年『ノーブイ・ミール』誌に短編『ベーラとゾイカ』『夏の午後のこと』を発表以後、新しい時代が始まる。中編『アパート交換』(1969)、『気がかりな結末』(1970)、『永き別れ』(1971)などは、この時代のソ連市民知識層の生活と心理の深い諸矛盾を描き、作者自身それらを「モスクワもの中編」とよんでいる。知識層の退廃変節に焦点をあてた中編『別の生活』(1975)、『川岸の家』(1979)もその延長に位置するといえよう。この時期にはまた、ナロードニキのテロリストを描く長編『あせり』(1973)、歴史と現代を同時に描く長編『老人』(1978)などの問題作を著した。没後、人間の運命について語る長編『ある時間、ある所』(1981)が発表された。ソ連社会、人間、歴史を構造的に真摯(しんし)に描く優れた作家であった。[草鹿外吉]
『草鹿外吉訳『気がかりな結末』(1975・集英社) ▽加藤弘作訳『川岸の館』(1979・社会思想社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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