レオーノフ(その他表記)Leonid Maksimovich Leonov

デジタル大辞泉 「レオーノフ」の意味・読み・例文・類語

レオーノフ(Leonid Maksimovich Leonov)

[1899~1984]ソ連小説家ドストエフスキー影響を強く受け、深い哲学性、鋭い現実批判などを特色とした。作「泥棒」「ロシアの森」など。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「レオーノフ」の意味・読み・例文・類語

レオーノフ

  1. ( Ljeonid Maksimovič Ljeonov レオニード=マクシモビチ━ ) ソ連の小説家、劇作家。心理主義的傾向、豊富な語彙による独特な文体を特色とする。小説「ロシアの森」、戯曲襲来」など。(一八九九‐一九九四

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「レオーノフ」の意味・わかりやすい解説

レオーノフ
Leonid Maksimovich Leonov
生没年:1899-1994

ソ連邦の小説家。1946年以降ソ連最高会議代議員。進歩的な詩人を父としてモスクワに生まれた。中学卒業後,赤軍に勤務し,1922年童話風の短編《ブルイガ》でデビューした。幻想的題材の短編やドストエフスキーの影響の強い中編《小人間の死》(1924)などを経,長編穴熊》(1924)で文名を確立した。《穴熊》は,共産党支配に抗する農民反乱の中で敵味方に分かれる兄弟の運命を通して,都市と農村の宿命的対立という形でロシア革命をとらえた作品で,革命後の傑作である。ネップ期に革命の理想を見失って泥棒の首領となった赤軍政治委員を主人公とした次の長編《泥棒》(1927)は,鋭い現実批判のゆえに長らく禁書扱いになっていたが,59年大幅に改作されて再び日の目を見た。五ヵ年計画を扱った長編《ソーチ》(1930)で彼は,古語や方言,革命後の新語を巧みに組み合わせて独特の文体を作りだした。続く長編《スクタレフスキー》(1932),《大洋への道》(1935)は社会主義リアリズムが唱えられだした時代的制約のために,彼の本領を発揮しえていない。彼はまた《ポロフチャンスク果樹園》(1938),《狼》(1938),《襲来》(1942)など,戯曲も数多く書いている。第2次大戦後は久しく沈黙していたが,長編《ロシアの森》(1953)で筆力の衰えぬことを示し,かつて上演禁止になった戯曲《金の馬車》(1955),《吹雪》(1963)や,SF小説《マッキンリー氏の逃亡》(1961)などを発表した。ソ連で最もユニークな作家といってよい。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「レオーノフ」の意味・わかりやすい解説

レオーノフ
れおーのふ
Леонид Максимович Леонов/Leonid Maksimovich Leonov
(1899―1994)

旧ソ連の小説家。モスクワ生まれ。父は詩人。自由思想のかどで父がアルハンゲリスクへ流刑となったため19歳までその地で育った。十月革命の翌年、モスクワの中学校を終えて赤軍に入り、1922年、森の魔物を主人公にした怪奇幻想的な短編『ブルイガ』で文壇に登場、長編『穴熊(あなぐま)』(1924)で文名を確立した。第二の長編『泥棒』(1927)は、鋭い現実批判のため長らく禁書同然であったが、59年大幅に改作されてその批判をさらに深めた。また『ソーチ』(1930)、『スクタレフスキー』(1932)、『太洋への道』(1935)の長編で、社会主義建設の過程における集団と個人の関係に目を注いだ彼は、第二次世界大戦後も知識人の生き方を探ろうとする長編『ロシアの森』(1953)、シナリオ体のSF小説『マッキンリー氏の逃亡』(1961)、粛清と亡命者の問題を扱った中編『えうげにあ・いわのぶな』(1963)を書いて新境地を示した。ドストエフスキーの後継者と評されるレオーノフの作品は、その哲学性、作品の斬新(ざんしん)なスタイル、現代の問題に対するかかわり方などが大きな特色となっており、旧ソ連においては文字どおり異色の作家であったということができる。

[原 卓也]

『原卓也訳『泥棒』(1978・集英社)』『工藤幸雄訳『マキンリイ氏の逃亡』(『現代ソヴェト文学18人集2』所収・1967・新潮社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「レオーノフ」の意味・わかりやすい解説

レオーノフ
Leonov, Aleksei

[生]1934.5.30. リストビャンカ
[没]2019.10.11. モスクワ
ソビエト連邦の宇宙飛行士。フルネーム Aleksei Arkhipovich Leonov。カリーニングラードで教育を受けたのち,1953年空軍に入隊,1957~59年戦闘機のパイロットを務める。1959年宇宙飛行士に選ばれる。1965年3月18日に打ち上げられた『ボスホート』2号にパーベル・ベリャーエフと乗り組み,地球を周回。2周目の軌道に入った際,クリミア上空 177km付近でエアロックを通じて船外に出て,宇宙船が西シベリア上空に突入するまでの約 10分間,史上初の宇宙遊泳を行なった。10年後には『ソユーズ』19号の船長として,1975年7月17日アメリカ合衆国の『アポロ』18号(→アポロ宇宙船)との軌道上でのドッキングに成功した。1982年宇宙飛行士を引退。1982~91年モスクワ近郊の星の街にあるユーリ・ガガーリン宇宙飛行士訓練センターに勤務。著書に "Two Sides of the Moon: Our Story of the Cold War Space Race"(2004。デービッド・スコットとの共著)。

レオーノフ
Leonov, Leonid Maksimovich

[生]1899.5.31. モスクワ
[没]1994.8.8.
ソ連の小説家。父は詩人で出版業者。中学生のときに十月革命を迎え,中学卒業後赤軍に身を投じ,国内戦での経験をもとに,1922年から作品を発表。『穴熊』 Barsuki (1924) ,『泥棒』 Vor (27) ,『ソーチ』 Sot' (30) ,『スクタレフスキー』 Skutarevskii (32) ,『大洋への道』 Doroga na okean (35) ,『ロシアの森』 Russkii les (53,57年レーニン賞受賞) などの長編小説で,ロシアと革命の運命をドストエフスキー的手法で描いた。ほかに戯曲『吹雪』 Metel' (40) ,『黄金の馬車』 Zolotaya rareta (46) など。 72年科学アカデミー会員。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「レオーノフ」の意味・わかりやすい解説

レオーノフ

ロシア(ソ連)の作家。モスクワの商家の出身。国内戦に通信員として参加後,短編《ブルイガ》(1922年)でデビュー,ドストエフスキーの深い影響を受けながら,《穴熊》(1924年),《泥棒》(1927年,改作1959年),《スクタレフスキー》(1932年)などの長編でソビエトの現実を屈折した形で描きだした。大戦中の戯曲《襲来》,スターリン時代批判の最初の文学作品となった《ロシアの森》(1953年)が有名。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android