ビブリア・パウペルム(英語表記)Biblia Pauperum

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビブリア・パウペルム」の意味・わかりやすい解説

ビブリア・パウペルム
Biblia Pauperum

「貧しき者の聖書」の意で,13世紀前半におそらく南ドイツ地方で作られ,14~15世紀にかけて数多くの挿絵入り写本が作られた一種の釈義的聖書。その特色は,30あまりのイエス生涯の主たる場面の周囲に,それの予表となった旧約聖書の場面,預言者像などを配置した,いわゆる類型論 Typology的図像にある。挿絵は彩色に乏しいが,素朴な美しさに富んでいる。通説にこれを文盲者のために作られたものとするが,確かではなく,むしろ「貧しき者」を標榜した特殊な信仰運動に関連させる説がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android