フェルディナンド1世[ナポリ王](読み)フェルディナンドいっせい[ナポリおう](英語表記)Ferdinando I, re di Napoli

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

フェルディナンド1世[ナポリ王]
フェルディナンドいっせい[ナポリおう]
Ferdinando I, re di Napoli

[生]1423. バレンシア
[没]1494.1.25.
アラゴン家出身のナポリ王 (在位 1458~94) 。フェルランテとも呼ばれる。アラゴン王兼シチリア王アルフォンソ5世 (度量王)の庶子。 1442年父がナポリを征服してナポリ王となったときカラブリア公に任じられ,58年父が没するとナポリ王を継いで1世となった。即位早々,アンジュー家および有力諸貴族の反抗を受けて苦境に立たされたが,62年のトロイアの戦いで勝利を収め,政情は安定した。民衆の支持を得て貴族勢力に対抗するため,行政・財政上の諸改革を行い,また 65年には大学を再開し,知識人の支持を得ることにも努めた。さらにロージの和以後の国際的均衡を利用し,子女の政略結婚を通じて諸国との友好関係の樹立に尽力。諸政策はほぼ成功したが,82年にベネチアとの間に生じたフェララの戦い以後,戦費調達による財政破綻が国内に混乱を呼起し,国王に対する貴族の陰謀が仕組まれた。またフランス王シャルル8世がナポリの王位の相続権を主張すると,教皇およびミラノスフォルツァ家がこれを支持し,フェルディナンドは国際的な孤立化に追込まれ,苦境のうちに没した。

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