日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ワトソン(Thomas John Watson)
わとそん
Thomas John Watson
(1874―1956)
アメリカの実業家、IBMの創設者。ニューヨーク州の片田舎(いなか)にアイルランド移民の子として生まれる。店員、行商人などで一時を過ごしたのちNCR社に入社、営業部長にまで昇進したが、1913年社長と衝突して辞職した。しかし翌年CTR社(1924年IBMと改称)に社長として迎えられた。以来、「考えよ」Thinkということばをモットーに研究開発と販売促進を有機的に関連させた独自の経営を行い、82歳で他界するまで精力的な活動を続け、今日のIBMの基礎を築くとともに、コンピュータの改良と普及に大きく貢献した。仕事だけを生きがいとした反面、歴代大統領とも親交が厚く、業界団体のためにも尽くすところが大であった。
[小林袈裟治]
『T・G・ベルデン他著、荒川孝訳『IBMの創立者ワトソンの伝記』(1972・ぺりかん社)』